変身

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犬になる時のように目眩がして、私は倒れた。 気がつくと小さいおじさんはいなくなり、私は身体に感じる違和感を確認すべく身体を動かした。 異常に身体が軽い。目に見える自分の手は、もとい前足は見覚えがある。 鏡を見るべく、リビングへ向かう。 電話台の上に鏡を置いているのだ。 犬の姿ならつかまり立ちで鏡が見れるのだが、周りの物が大きく見えるあたり、今度は身体が小さくなっているのだろう。 とはいえ、一度犬になった経験があるのだ。前足が見る限り猫である。どうせ今回は猫になっているのだと察しがついている。 私は目一杯ジャンプしてみた。軽々と身体が宙を舞う。 音もなく電話台に上がる事ができた。電話落ちたけど。そこそこ値段するのに。 鏡を見る。そこには猫がいた。一度犬になって見ると余裕って出るもんだな。今、産まれて初めて自分が可愛いと思ってる。 茶色毛並みは犬の時と同じである。 しかしあの小さいおじさん、人を犬にしたり猫にしたり、一体何がしたいんだ。 何より、おじさんのセーラー服姿はクレイジー過ぎる。 さて、家族が帰ってきて、いきなり猫がいたらさぞかし驚くだろうな。 初めての毛づくろいをしながらそんな事を考えていると。足音が聞こえてきた。 小さいおじさんかと思い顔を上げる。 案の定、小さいおじさんだった。ただいつものメイド服である。 私は小さいおじさんに飛びかかり、猫パンチを繰り出す。 何回も犬にしたり人にしたり猫にしたり、何がしたいんだこいつは。 小さいおじさんは私に顔をひっかかれながら、手でハートをつくった。 途端に目眩がする。私はまた意識を失った。
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