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 私の毎日のどこかには必ず聡が居た。それがそうではなくなった、  分からない彼の安否と、離れて思い知るそのあまりの大きさに私は積み重なる不安と孤独に日々押しつぶされて行った。  卒業や引っ越しで会えなくなった親しい友人も過去にはいたが、これほど心の空洞を思い知るのは初めてで、自分がどうにかなってしまうのではと戸惑いさえした。  自分でいくら取り繕っても、聡の事情を知らない周りにさえ伝わるものがある様で、どこか腫物を扱う様になっている状態に一層気持ちは落ち込んだ、  微笑む事を忘れておよそ3年、仕事から戻った私は自宅のアパートの前でうろうろする男を見つけた。その不審者を警戒し、通報しようとスマートフォンを手に取った私は息を飲み、号泣しかけた。  聡だった。  私に気付いた聡もやはり驚いた顔をして、そして去ろうとした。 「聡でしょ? お茶でも飲んで行ったら? 」  込み上げる気持ちと涙を力づくで抑え込んで努めて明るく話す、聡が知る私を蘇らせる。いつものなんでもない日常の様に。 「ああ、えっと」  感情の高まりが私を大胆にさせていたのだろう。躊躇する聡を半ば強引に部屋に引き入れていたのは自分でも驚いた。  彼は私の部屋を見回しつつ、感慨深そうな表情を浮かべていたが、私は私で聡がこの部屋に居る事に胸が躍って、彼を意識した頃の様なときめきを覚えつつお茶を淹れていた。 「言ってたのより随分早かったのね」 「ああ、それは何と言うか……」  彼の表情が極端に曇った。ああ、そうだった、それ思い出して私は理解せざるを得なかった。
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