side 蓮

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 この世を俯瞰する様な暗く冷たい瞳。彼は同じ男性である蓮に見惚れさせる程、魔力に似た何かを放出させていた。  だが突然、銀髪のウェイターは思いついたように軽く握った拳を口元に当て、肩を揺らしながらクスクスと笑いはじめた。 「ジャガジャーン。突然ですがクイズです。お客様は愛ってなんやと思いますか?」 「は?な、何を突然....」 「愛ってなんでさっきのお客様みたいに変化するんですか?ついたり消えたり移ったり。全く、電気やあるまいし。」  銀髪のウェイターは『うまいこと言っただろう』といわんばかりに片目をつむったドヤ顔を蓮に向けている。 「お客様の答え、『俺の愛はこれ!』をワテに教えてくれたら、賞品をプレゼントしますさかいに。どうです?チーム制でもオッケー!クリスマス大サービス中!」 「なるほど。店の企画か。それにしてもぶっとんだ内容だね」  蓮は半笑いをうかべながら冷めた珈琲を一気に飲み干した。  確かにこのご時世、何かしら奇抜なイベントでもやらないと商売上生き残れないという事なのかもしれない。  もしかしたら昨夜の青い天使の事もマジックショーの形をした悪質なドッキリイベントショーだったのだろうか。 「愛ねぇ....」  蓮は徐にすっかり氷が溶けたグラスを手に取り水を飲む。強烈な苦さしか感じられない珈琲の余韻は何度も水で流し込んでもなかなか消えない。ウェイターは何やら楽しげにこちらの様子をチラチラと伺っている。もしやこの珈琲が不味いのはわざとなのか。などと少し疑いながら蓮は答えを思案し続けた。  だがいい答えが思い浮かぶ筈も無い。考えて見れば当然だ。それは実際朝比奈の件で動揺する蓮の自分自身に対する問いでもあるのだから。  
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