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蛇は怒りを込めた指でボタンを押すと炎に包まれた青い天使にめがけて消化剤を放射した。
「天誅ーッ!」
片足をテーブルに乗せ、怒りに燃え盛る激しい青い炎の塊と白い泡との攻防が店内奥のA四番テーブルで繰り広げ始めた。
くどいようだがもう一度説明しよう。絶賛バイオレンスバトル真っ最中ではあるものの正装姿の天使は意図的に解除しない限りは普通の人間には認識される事はない。だが上級天使であるロキの炎はとても危険なのだ。
カウンターやテーブルでランチを楽しむ客の頭や服に次々と飛び火してゆく青い炎。今回のロキの怒りはかなり強くその熱量にいささか蛇は苦戦し始めていた。
「.....スネ夫(セラムが勝手に蛇のあだ名をつけて店長に伝えた)のやつ一体どこにいったんだ」
その時、奥の調理場からサングラスに坊主頭、自称ファル○ンの店長がぼやきながら現れた。その瞬間だった。店長の白いマスクに青い炎の飛び火がストレートに直撃し、瞬く間に燃え上がった。
「ぎゃあああーっ!あ、あアホかぁーっ!店長のマスク燃えとるやんけ!髭、燃えたらどーすんねん!お前、ワテがセラムの穴埋めで何連勤してんのか知っとんのか!」
蛇が恐れるように万が一、マスクの下に隠された自慢の髭が焼き焦げでもしたら店長はたちまち引きこもってしまう。
(割愛するが以前ロキの炎で燃やした前例あり)あの時と同じように再び綺麗に生えそろうまで店長の穴を埋めるための鬼シフトが蛇に組まれる事が即座に確定する。
「あかん!エグゼクティブモード発動!」
蛇の叫びと同時に消化器は閃光弾が破裂したような眩い光を放ち、店内は白一色に染まりきった。
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