side ミチル

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「まさか、ご冗談を!」  桜鬼子は屈めた腹を左手で抑え、右手は招くように激しく上下に振りながらケタケタと笑いだした。 「ですよね.....」  ミチルは玄関の靴箱の上の招き猫の方に視線を移した。あの置物の下には消費者金融からの書類が隠してある。借金はあといくらなのだろうか。確か300万位だった筈。亡くなった姉の為の借金だったとはいえ、借りた名義が私であれば返さねばならない事には変わりがない。70万でも当分の生活が助かるならば.......、と、ミチルは納得しかけた。 「えーと、ミチル様、何か勘違いされてますね?お渡しさせていただく金額は......」  桜鬼子は大きく開いた胸元をアピールするように身体を屈めると再び両手で7の数字を作り、ウインクしながら金額を述べた。 「7億円ですよ🎵」
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