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「何!?」
いち早く異変に気付いた令嬢が背後を振り返る。
「え?なんだこれ」
蓮も思わず声を上げた。
つられたように視線を移したバックミラーには無音で追尾する夥しい数のパトカーが写り込んでいる。慌ててスピードメーターの針の位置を確認するがまだ法定速度内。検挙される覚えは無い。
だが、パトカーは明らかにこの車に照準をあわせている。車線変更とアクセルの強弱で確信を持った蓮は固唾を飲んだ。
「気味が悪いわね」
「......そうですね」
スピード違反位のものならば笑いで済まされるだろう。だが誰もが知る大企業の朝比奈にとって警察沙汰のスキャンダルはご法度。あなた一体何をやらかしたの?
朝比奈の令嬢の目が鋭いナイフの様に蓮を突き刺した。
やがてSAの看板が道路左手脇に現れるのを合図の様にして一気にスピードを上げた一台が二人が乗る赤いスポーツカーに並走した。
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