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──次のSAに入るように。
突如一斉に鳴り響いたけたたましいサイレン音。ピタリと並走するパトカーはスピーカー越しに高圧的な指示を出し、助手席の警官は蓮に訝しげな顔を向けている。
「何?本当に今、何かトラブルが起こったら困るんだけど。パパから大きな事業を起こすからくれぐれも騒ぎを起こすなって釘を刺されているんだから」
令嬢は背を丸めると長い人差し指の爪をガリガリと噛み、怒りで身を震わせた。だが逆に蓮の方は警察の目的は令嬢ではないかと考えていた。潔癖である身の上は自分が充分理解している。
蓮は緩やかにスピードを落としながら、比較的小型のSAの入り口に侵入した。パトカーのサイレンと回転灯が不安な心を煽り続けている。
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