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10月末になると一気に冷えてきて今年も終わりに向かっていた
『一気に寒くなったね。今月の頭はまだ暑かったのに』
「そうだな」
『ねぇ。今日悟の部屋でゲームしない?』
「いーけどお前ちゃんと勉強してるのかよ」
『してるよー』
「本当かよ」
学校が終わり、いつものように私と悟は一緒に下校していた。そんな中私は以前から気になっていたことを問いかけてみた
『悟』
「ん?」
『悟、なんか悩み事とかない?』
「ないけど」
『えー嘘だー』
「何もねぇよ」
『じゃあたまに考え込んでるアレは何よ』
「・・・」
黙り込んでしまった悟に声をかけようとすると悟は何かに気づいて立ち止まった
『え、何?』
「悪い。今日ゲーム無しな」
『えー!何で?!』
「二宮さんが迎えに来てる」
悟がそう言って前方に止まる車を見つめると、車の中かな髪の長い女の人が出てきてこっちを見ている
少し前から悟を迎えにくるようになった女の人だ。長い黒髪の綺麗な女の人・・・だけど私はその二宮さんが好きになれない
「行かないと。悪い砂名気をつけて帰れよ」
そう言って二宮さんの方に歩み寄っていく悟。私はそんな悟の背中をぼーっと眺めた
二宮さんが嫌いだ
二宮さんはいつか、悟を暗い所に連れて行ってしまいそうでとても嫌いだ
私の方がいつも一緒にいるのに
だけど大丈夫、悟がもし暗い所に行こうとしても私が引き留めれば・・・きっと大丈夫
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