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せっかくのチーズケーキの味がどこかへ消えてしまい、ボクは悲しい気持ちになる。この美味しいチーズケーキも、遥希くんと一緒に美味しいねって言いながら食べたかった。おそばはそうだった。二人で笑いながら、美味しいねって言いながら、なんてことない話をしながら美味しく食べられたのに。ボクがはしゃぎ過ぎて、全てが台無しになってしまった。
ボクは震える手でフォークを置き、遥希くんに向かい合った。
「あのね、遥希くん」
「お、おう」
ボクが話しかけると、遥希くんもフォークを置いた。はしゃぎ過ぎたことを謝らねば、とボクは居住まいを正す。
「ボク、前にも言ったと思うんだけど、大学に入るまで友だちらしい友だちっていなかったんだ。だから、遥希くんみたいにいろいろ話せる友だちができてすごく嬉しくって。それで、その、嬉しいっていう気持ちがちょっと、あの、抑えられなくて、つい、触って、しま、う、というか……。気持ち悪いよね、ごめんね」
ボクは頭を深く下げた。
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