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しかし、終始よく子供に干渉する親である。僕は洗面所に行って歯ブラシを取ったが、渡辺が使っている歯ブラシは毛先が跳ねてて気持ち悪いので、洗面所中を探して新しい歯ブラシを使った。歯磨きを終えて着替えようと思ったのだが、あいつの服のセンスが気に入らない。英語で「we are the world 」と書いてあったり、猛獣の絵柄が服のど真ん中に描いてあったりするものばかりだ。僕は適当なジーンズと、比較的無地に近い服に着替えて、颯爽と家を飛び出した。 渡辺の家は通学路沿いにある。僕は毎日この豪華で荘厳な家を横目に学校へ向かわなければならなかったのだ。通学路とは反対側の狭まった道沿いに行けば公園がある。富裕そうな邸宅が軒を連ねる道を、脇目も振らずに走り抜けた。公園は案外近くにあった。
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