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君
新学期。外は満開の桜日和で、暖かい風が私を包む。
私は門崎灯、今日から高校2年生。
今まで後輩・一番下の学年というレッテルを貼られていたが、
もう私も先輩の一員だ。
ウキウキ気分、鼻歌なんか歌いながら私は、新しいクラス表が貼られている靴箱へ向かう。
靴箱に近づいていくと、ざわめく声が大きく聞こえてくる。
「ねー何組だった?」
「お前俺と同じ!」
「え〜離れちゃったよ〜」
お互いにクラスを聞きあう声。馬鹿騒ぎする男子たち。クラスが別れたことを嘆く、陽キャ女子。
なんだか…行きにくいな。
私には友達がいない。中学卒業と同時に引っ越し、高校は友達と別々に。
1年がたった今も、私には友達がいない。
さっきまでのウキウキ気分が、急に冷めてしまった。
「おーい早く教室行けよ〜」
先生の掛け声が聞こえると、さっきまで溜まっていた生徒達はぞろぞろと教室に向かっていく。
生徒の殆どが行った後、急いで靴箱のクラス表を見た。
「門崎灯…門崎灯………。あった!5組!」
自信を持て私!私は、先輩なんだ!
自分にそう言い聞かせていると、一人の名前が私の目に入った。
「…霧野…柊生?」
どこかで聞いたことがある名前。…なんでだろう。
キーンコーンカーンコーン。
そんな事を考えていたらチャイムが鳴った。
私は靴を脱ぎ、急いで教室に向かった。
廊下は走っちゃだめだけど!だめだけどっ…!
全速力で走り、私は教室へ向かった。
それが、天罰だった。
ゴンッ…!
階段の踊り場。誰かとぶつかった。
激痛が頭へ巡る。
「痛いっ!」
私はその場に倒れてしまった。
その場で調子を整え目を開けるとそこには、
一人の男子が立っていた。
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