言葉と君

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言葉と君

次の日、霧野くんの席はいつもどおりにあった。 教室へ入った時、中には霧野くんしかまだいなかった。 用事があって早めに教室へ来たが、まさか霧野くんがもう来てたなんて。 「おはよう霧野くん」 私は本を読んでいる霧野くんへ挨拶した。けれど反応がない。 「おはよう霧野く…」 「I LOVE YOU」 「へ!?」 霧野くんの口から、確かに「I LOVE YOU」と聞こえた。 「あ、門崎さん。おはよう」 霧野くんが私の方へ顔を向けた。 私はなんだか、視線を合わせられない。 「どうした、門崎さん?…もしかして俺、変なこと言った!?」 タジタジし始める霧野くん。私は口を開ける。 「さっき、I LOVE YOUって…」 「え、うそ!?まじか…」 恥ずかしさからか、霧野くんが顔をおおう。 「実はさ…」 霧野くんが私の方へ顔を向けたまま、何かを話し出す。 「さっきのI LOVE YOU…」 なにかを言おうとする霧野くん。 私は視線を合わせることができず、教室の上を見ながら、霧野くんの話を聞いた。 いったい…何なんだろう…。
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