12月17日、青春のひとゝき

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 哲也は、悪いヤツではなかったが、さゆりにとってただの友達で、ただの幼なじみ。  こういうのを、哲也は「幼なじみ」と思っているようだが、さゆりは「腐れ縁」だと思っていた。  哲也はちょっと引くくらいのシスコンだ。彼は妹のことを溺愛していた。  初めて同じクラスになった清水彩は、さゆりの女子仲良しグループに入ってきた。当初は、クラス分けのため、高一での仲良しグループと疎遠(そえん)になってしまったためだと思っていた。  でも、違っていた。  彼女は、哲也狙いの子だった。哲也に近づきたいがために、さゆりに近づいたのだ。 「さゆりって、永井くんの彼女なの?」  ストレートに聞いてきた。  さゆりは、首を大きく横に振った。  彩から永井くん好き好きオーラがプンプン流れていたので、さゆりは、シスコンのことを黙っていた。哲也の名誉のために。 「私、高校の入学式で出会った時から、永井くんのことが好きでした」  そう、彩はさゆりに告げた。  なんで一年も行動を起こさなかったのかと聞くと、さゆりと哲也がつきあっていると思っていたらしい。  彩は一途(いちず)で、哲也に告白した。彩は美少女だから、哲也は即OKした。当然だろう。さゆりでさえ、彩に告白されたら、同性であってもどうなったかわからなかった。
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