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哲也は、悪いヤツではなかったが、さゆりにとってただの友達で、ただの幼なじみ。
こういうのを、哲也は「幼なじみ」と思っているようだが、さゆりは「腐れ縁」だと思っていた。
哲也はちょっと引くくらいのシスコンだ。彼は妹のことを溺愛していた。
初めて同じクラスになった清水彩は、さゆりの女子仲良しグループに入ってきた。当初は、クラス分けのため、高一での仲良しグループと疎遠になってしまったためだと思っていた。
でも、違っていた。
彼女は、哲也狙いの子だった。哲也に近づきたいがために、さゆりに近づいたのだ。
「さゆりって、永井くんの彼女なの?」
ストレートに聞いてきた。
さゆりは、首を大きく横に振った。
彩から永井くん好き好きオーラがプンプン流れていたので、さゆりは、シスコンのことを黙っていた。哲也の名誉のために。
「私、高校の入学式で出会った時から、永井くんのことが好きでした」
そう、彩はさゆりに告げた。
なんで一年も行動を起こさなかったのかと聞くと、さゆりと哲也がつきあっていると思っていたらしい。
彩は一途で、哲也に告白した。彩は美少女だから、哲也は即OKした。当然だろう。さゆりでさえ、彩に告白されたら、同性であってもどうなったかわからなかった。
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