第6話「滅殺」

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第6話「滅殺」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!  ぶしゅー……!  オゾンの匂いが立ち込め、猛烈な熱気が地面から溢れている。  周囲にはどこからともなく地鳴り……。 「な、なんだよ、今の……」  え?  食われた? 「死んだ? 俺、死んだ??」  ここは、胃の中?  にしては、風景はさっきと大差ないけど───。  え?  死んだ………………?  それとも、 「ゆ、夢?…………全部、夢??」  イアンに置き去りにされたことも、  オーガロードに食われたことも、  お星様が願いを聞いて……。 「い、いでぇ」  試しに頬をつねると僅かに痛み。感触はある。  ……そして、生を実感すべく、一瞬だけ目を閉じたその後───。  パチパチと目をしぱたく。  ペチペチと頬を叩き、身体をさする。 「ある。手も、足も……全部ある───」  っていうか、絶賛吐血中───……。 「うげぇぇ……!」  気づいた途端に、身体が悲鳴を上げる。  そりゃそうだ……。オーガロードに握りつぶされたんだ。  内臓破裂、ヘタすりゃ腹腔内出血で偉いことになってるんじゃないか……?  だけど、 「生きてる…………?」  バカな?  っていうか、 「……お、オーガロードはどこ行った?!」  ババ!! と身をひるがえし、徒手空拳の構え!  激痛が走るが、それどころじゃない!  なのに───……。 「………………………いない?」  消えた。  あれほど、凶悪で驚異的な存在感を誇っていたオーガロードが、  ………………消えた。 「…………う、嘘だ、ろ」  いまだに信じられないカールは、呆然として座り込む。  一体何がどーなって? 「お、落ち着け。いったん……。いったん落ち着け、俺」  一度深呼吸する。  すーはー  すーはー 「すー……ぐぅぅっ」 (いってぇぇ……)  傷ついた内臓がひどく痛んだが、それでも生きている。  生きているって素晴らしい───……。 「……じゃなくて!!」  一人でツッコむとようやく気分が落ち着て来た。  そのまま、キョロキョロと周囲を見渡すが、とりあえず周囲には……。 「…………い、いや、まてッ!」  「ゲホッ」と、吐き出した血と共に、ヨロヨロと起き上がるカール。 「こ。これって……。お、オーガロードの、腕??」  ぽつんと落ちていたそれ。  その巨大な腕は中ほどからジュウジュウと湯気を立て解けており、溶けている。先についているべき身体はどこにもない。 「な、なんだこれ? なんなんだこれは?! 何が起こったんだ?!」  最強最悪無敗のモンスターが、消滅?!  誰が、  なんで?  …………どーーーーーやって? 「……まさか、さっきの光───?」  寸前に空が光ったのはカールも見ていた。  だけど、それがなんなのか……。 「う……。か、身体が───」  ガクリと膝をつきその場にうずくまる。 「い、いたたたたた…………!」  直後、猛烈な激痛が走ったかと思うと!   カッ──────!!  ※ ※ ※    カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)   カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)    カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)     カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)      カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ) カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)  ※ ※ ※ 「ちょわっぁぁぁあああああああああ、なんじゃこりゃぁぁあああ?!」  まじか、これ?  な、なんじゃこれ……?? 「め、」  滅茶苦茶レベルが上っがとるぅぅぅううううう!! 「え? マジかこれ? た、倒した……の? え? マジ。え? だれ? っていうか、…………俺??? 俺が倒したことになるの?!」  このだけの大量の経験値はオーガロードを倒したもので間違いないだろう。  だけど、あり得るのか?  『雷の弾丸』ですら正面対決を避けた聖剣の守護である巨大な鬼、オーガロード。  しかも、脅威度SS判定で、無敵のモンスター。  そいつが倒れた。  いや、消えた。  つまり、倒したのだ──────……!  万年Cランクと馬鹿にされた、ゴミカススキル持ちにカールが!! 「……う、嘘だろぉぉぉおお?!」  マジかよ。  どーーーなってんだよ!!  信じられない思いでいるカールだが、事実は事実だ。  カールが入手した大量の経験値と、急激なレベルアップがそれを物語る。 「だ、だけど助かった……」  おかげで傷だらけだった体があっという間に回復していく。  レベルアップの恩恵だろう。  いや、それにしても───……。 「ご、57レベルも一気に?!」  ちょっと、試しに確認……。 レベル:157 名 前:イアン・オルドビス スキル:【通信】Lv3(UP!) ● イアンの能力値 体 力: 1642(UP!) 筋 力: 1499(UP!) 防御力:  977(UP!) 魔 力:  431(UP!) 敏 捷:  702(UP!) 抵抗力:  309(UP!) 残ステータスポイント「+176」 スロット1:剣技Lv2 スロット2:解体Lv1 スロット3:通信Lv2 スロット4:運搬Lv3 スロット5:な し(NEW!) ● 称号「星と語るもの」(NEW!)  ⇒ 衛星軌道との通信の成功。  ≪恩恵≫ 衛星軌道との通信可能時間の表示  ※ ※ ※ スキル【通信】Lv3(UP!) 能力:SPを使用し、離れた相手と通信が可能。    あらゆる言語および技術体系に対し通信ができる。 ●拡張機能:固定通信ポイントの追加 〇通信ポイント1【雷の弾丸】 〇通信ポイント2【な し】 〇通信ポイント3【な し】(NEW!) ●通信ポイント固定候補  ⇒冒険者ギルド辺境支部(候補消滅まで00:12)  ⇒軍事衛星No.335(・・・・・・・・・・) (候補消滅まで09:48)  ※ ※ ※ 「おいおいおい……」  め、めっちゃ色々上がっとる……。 「うわー。しかも、上昇し辛いスキルレベルも上がってるし……。そのうえ拡張機能も増えた。あ、スロットまで拡張されてる───」  思わず解放したステータス画面には、レベル157の表示。  ……イカれてやがる。 「───オーガロード……どんだけ格上モンスターだったんだか」  ………………………………っていうか、なんか変な表示が─────────。  あーーー……。 「ぐ……。軍事衛星????」
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