第9話「拡散荷電粒子砲」

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第9話「拡散荷電粒子砲」

「ぎゃぁぁぁああああああああ!! 来るな来るな来るな!!」  大慌てで走り出すカール。  幸いにも地図は手元にある。  フィールド型ダンジョンなので、夜空に輝くの星の位置からも方角判定可能。  なんだけど……。 「方角とか言ってる場合じゃね~~~~!!」  ズシンズシンズシン!! 『『『グルァァァァァァアアアアア!』』』 「ちょ、ちょっと数が多くない? これ?」  ザっと見ただけど10体以上のオーガが迫ってくる。  どいつもこいつも上級のオーガだ! 「ひぃぃぃぃいいいいい!!」  レベルアップのおかげで回復したとはいえ、カールは所詮Cランク程度の冒険者。  SSランクのダンジョンで、A級以上のモンスターに追われてタダで住むはずがない! 「やばいやばいやばい!! しかも、どんどん入口から遠ざかっていく──────あー!!」  食欲全開でオーガの亜種が追ってきた。  体格差からもとても逃げ切れるもんじゃない! 「くっそーーーーーー! せっかく、助かったと思ったのに……! もーーーーーー!」  誰でもいいから、 「助けてくれぇぇぇえええええ!!」  みっともなく、大声で鳴き叫ぶカール。  他力本願もいいところだが、  彼には───……お星様(・・・)がついていた!! 『了解(コピー)──────救助要請受諾、再チャージ開始』  …………は? 『これより、支援砲撃を開始します──────要救助者のルート上に確認された未確認巨大生物の排除開始』 「……ちょ?! え? あ、あれ? アンタ、さっきの人か───」  危機一髪のところで、カールを助けてくれた恩人…………なんだけど。  皆まで聞かずにそいつは一方的に話し出した。 『荷電粒子砲:拡散──射撃用意、発射まで5、4、3……』  ちょ……?  え──────?  ……か、荷電粒子砲……の『拡散』ッ?!  拡散ってあんた?! 『───2、1……──発射(ファイア)』  ぜ、絶対やばい奴でしょ、これ?!  ……おぉぉいい?! 「ファイアじゃねーーーーー!! それ、絶対ファイヤ(火球)じゃないよね?! 誰か知らないけど、まさか、また───」  ……あの時、空が光ったキュバァァァンってやつを──────。 『着弾まで、0.5秒───弾着(インパァァクト) 「ちょ、ま」 『…………今ッ(ナァウ)!!』』  キュバババババババッババババアアァァァアアアア!! 『『『グルァァァ───  ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオン!! 「どぅぁああああああああああああああああ!!」  思った通り空が光ったかと思えば無数の光の雨が降り注ぎ、それぞれが地面に激突して大爆発!!  いや、地面じゃない……! 地面ごと、オーガどもを全て薙ぎ払ってしまった。   キュババババババアァァァアアアア!!   キュバババババババッバババアアン!!  それどころか、悪鬼の牙城の城塞そのものにも、無数の光の雨が降り注ぎ穴だらけにしてしまった。  内部からは猛烈な爆発が起こり、城塞がゴウゴウと燃えている。 「ふぉぉぉ………………」  爆風に吹っ飛ばされ、ゴロゴロと転がったカールは、生まれたての小鹿ようにプルプルと起き上がる。 「ひ、ひぃぃ…………生きてるぅ……のか? これ? 俺、生きてる?」  ブルブル震えたカールが恐る恐るあたりを見回すと、シュウシュウと湯気を立てる小さな穴が無数に開いている。  穴の傍には、何やら炭化した塊が。 「な、なんだよ、これ?? なんなんだよ!?」 ※ 鑑定 ※ 魔物:オーガナイト 備考:炭化死体。    素材の回収はほぼ不可能 ※ ※ ※  シュウ、シュウ……! ×16 ※ 鑑定 ※ 魔物:オーガビショップ 備考:炭化死体。    素材の回収は絶望的 ※ ※ ※  ブシュゥゥ……! ×23 ※ 鑑定 ※ 魔物:オーガジェネラル 備考:炭化死体。    素材の回収とか無理 ※ ※ ※  ジュゥゥゥウ……!! ×5  や、 「…………やり過ぎでしょ!!??」  見渡す限りで20体はくだらない、原型すらない炭化死体。  それ以上に、視界の範囲外にもあるのだろう。  ……あたり一面に漂う、焦げた肉の焼ける匂い……。  つぎの瞬間。  ※ ※ ※    カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)   カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)    カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)     カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)      カール・オルドビスのレベルが上昇しました(レベルアップ)  ※ ※ ※  おいおいおい……! 「うぉぉぉおおい?! またか? またなの?! 俺、倒してねーっつってんじゃん!!」  カールのツッコミなど知らぬとばかりに、今度はドロップアイテム。  素材回収は無理でも、倒した後に出現するアイテムは回収できるらしい──────って、  ポィン♪  ポィン♪ ポィン♪ ポィン♪ ポィン♪ ポィン♪ ポィン♪  ポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポィン♪  ……炭化死体から零れ落ちる大量のドロップアイテム。  この日、この瞬間、カールはまたまたレベルが上昇し、一気にLv14も増えたとか増えなかったとか……。
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