ファッ○ンベイベー───

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ファッ○ンベイベー───

※ エリナ視点 ※  順調に見える要塞殲滅戦だったが、突如予想外の事態が起こる。  ビリィ捜索のため根こそぎ殲滅してやるつもりで撃ちまくっていたのだが、誰かのミスか──ビリィの手下がヤケクソになったのか、要塞内に火が回り始めた。  折から乾燥する地域だ。火が付き始めれば周るのは早い。 「ファ〇ク! やってくれるじゃない」  パァン、パァン! と時折流れ弾が来るというのに、エリナは気にしたそぶりも見せず、仁王立ち。  M1897(ショットガン)を肩にトントンあてつつ、  部下に殲滅戦を任せていた。 「時は来た……白き悪魔たちよ」  部下たちの仕事ぶりを眺めているエリナの下に、またあの老婆が来た。  人間がクソであるところを見せればそれで十分だったが、少々鬱陶しくもある。 「なに? また大地の精霊様からお告げでもあったのかしらー」  ふん……くだらない。 「いかにも……血が多く流れ──悲鳴が空気を震わせた……我らがここを明け渡したのも、血を流さぬため……」  何を言ってるんだか?  いい加減、聞きあきたわよ。 「よっく知らないけど……ここに住んでた、あんたたち部族はロクに戦いもせずに逃げたって聞いたわよ?」  かつての住人。名も知らぬ先住民の一部族だ。  勇敢にも立ち向かう部族がいるというのに、この老婆の部族は早々に逃げ散ったと聞く。  はんッ!  鼻で笑ってやる。 「いかにも……この土地で血を流せば、大地の精霊(グレートスピリット)はお嘆きになり……汚したものを放逐する」  あらあら、放逐ねー……殺すんじゃないのね。  結構なこと───お優しい精霊様。 「でー? 何かしら? 殺しを止めろって言いたいのかしら?」 「はははははははははははははははははは」  突然笑いだす老婆。 「もう、おそい……」  漂い始める白煙に甘いものが混じり始める。 「導きの霧もでた───……そして、やはりあの『石』はここに来た──さて、今回はどれほどの規模になるかのう」  ははははははははははははははははははははははは!  耳障りな声で笑う老婆。  エリナは内心苛立っていたが、ここで殺すほど浅慮でなければ、恥知らずでもない───はずだ。 「あらそー…ぜひとも放逐されてみたいものね。このクソったれな世の中にカンパ」  イ────。  ブシュウ……と、老婆が隠し持っていた石のナイフで自らの喉を切り裂いた。 「なっ!?」 「ゴフゴフハハババババババババババッバアッバババァ」  何か言ってるのか、ただ笑っているのか……とにかく不快な気分にさせる事だけは理解できた。  そして、老婆の──巫女(シャーマン)の地がジワジワと大地に滲み込んでいく。  それを無感情に見下ろしつつ、エリナは自問した。  老婆の言葉にある単語が脳裏にヒットしたのだ──。 「血と───……『石』?」  その直後。  地面の下から光がわき出る。  まるで光線のように地面をものともせず、まるで地下空間から溢れるようなそれ。 「…………な。なにこれ!?」  異変に気付いた部下が周囲を固める。  エリナを中心に円周陣を組むと──、周辺警戒を怠らない。 「く! 視界が悪い。背中を撃たないように気を付けなさいッ」  もうもうと立ち込める煙。そこに混じる地下から射し込む強烈な光線。  全員が思わず目を閉じた、その瞬間。  最大級に広がった光と煙が瞼の裏からでもわかるくらいに光輝く。 「ファッ○!!」  ようやく目を開けたエリナ達騎兵隊は、 「しょ、少尉!?」  軍曹の言葉に、我々は──────。 ※ 次回。ガルム達に戻ります ※
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