第8話「脳内変換」

1/1
前へ
/12ページ
次へ

第8話「脳内変換」

 いつもいつもて、  いつもの如く…  あっつい一日だった…  ミィーンミンミンミンジィ~…  ジワジワジジワジワジワワワワ…    窓の外ではセミが鳴く。  いつも思うが、あの体のサイズで凄い音量だよね…蝉って!  ぼーっと眺めるTVとともに、ボンヤリとどうでもいいことを考える三十路のオッサン。  見るでもないTVがBGM代わりに部屋に流れている。  大画面とちゃぶ台。  JS美少女とオッサン──  超そぐわない光景です。  それというのも、いつものようにユズが部屋に遊びに来ていたからで──  こんなオッサンと遊んで何が楽しいのか、ユズはよく光司の部屋に来る。  万年暇人の光司は特に嫌な顔一つせず、ユズのしたい様にさせているものだから、ほとんど託児所のようになっていた。  3時くらいになれば、クゥと可愛らしいお腹の音を立てる小学生。  健康そうな肌が眩しいスパッツ姿、薄いTシャツを押し上げる子供にしては豊満な双丘。  その下のお腹をさすって恥ずかし気に顔を染めている。  ヨシヨシと頭を撫ぜると、  光司はおやつを準備する。  さて、なにがあったかな~っと冷蔵庫を開けて食材を確認。  今日はプレーンヨーグルトがあったから、粉砂糖をたっぷり混ぜて御馳走する。  アリガトーと礼儀正しくお礼をいうユズの頭を優しく撫でてやる。  嫌なそぶりも見せずニッコリと笑うその笑顔は天使のようだ。  うーむ…可愛いぜ!!  特に何をするでもなく、ナニもしない秋の昼下がり。  蝉の声が変化したのを感じた夕方。  その頃になると、セーラー服姿の部活帰りのエミが、汗のいい匂いをさせて、部屋に勝手に入ってくる。  ユズをみると、「かわいー!」とか言って、即座にガシっと捕獲、ツインポニテ頭をカイグリカイグリする。  美少女JSと美少女JCの戯れる姿──  うんうん…ホッコリする光景じゃの。  さてさて、腹ペコのエミには何を御馳走してやるかね~。と、そう考えて、シンクにいくと萎びたキュウリがあったのを思い出す。  キュウリ、ヨーグルト、とくればあれだな。  あとは、味噌!!  これで作る簡単糠漬けもどきだ!  【簡単糠漬けもどき】  特徴:キュウリを適当に切り、     ビニル袋につっこむ。     ここに少々の塩を加えておく。     さらにヨーグルトを3、     味噌を7くらいの割合で入れる。     好みにもよるので、ヨーグルト5、     味噌5の割合でもよい。     あとは、これをもみ込み、     しばらく冷蔵庫で寝かせる。     15~30分くらいで十分。     水分が袋の底に染み出ていれば完成。     これをボウルか皿に盛り付ける。     糠っぽいものは洗っても、     そのままでもどちらでもよい。     ──好みで分けるべし。     さわやかな酸味がたまらない。     栄養はキュウリ由来なのでほぼ水分。     塩分割と高め。     調理時間15~30分。手間は30秒  材料:キュウリ、塩、     プレーンヨーグルト、味噌 「くぅあぃくぅあぃくぅあぃぃぃね~~~♪」  何故かモアイのような表情をしたユズと、それをひたすら撫ぜ繰り回すエミがいた。  頭を撫ぜすぎて、剥げてしまいそうな勢いだ。 「をいをい…エミさんや…ユズを撫でてもご利益はないと思うぞ」  まるで、お寺の霊験あらかたな御神体を拝む勢いのエミに苦笑する。 「コージにぃ…エミ姉ちゃん暑いのぉ~…」  部活帰りでホカホカのエミはかなりの体温だったようで、ユズは茹っていたのだ。  しかし、「可愛いモノ撫でクリ症候群」に陥っているエミは、目を爛々(らんらん)とさせて気付きもしない。  ユズよ…嫌だったら殴ってもいいんやで。 「エミさんや…ユズたん嫌がってますよ…」  ホォレホレ、と。  ───(くわ)えたまえ~  糠漬けもどきを箸に取ると、エミの半開きの口にねじ込む。 「くぅあぃくぅあぅぅううう、ふぐぅぅぅ…!?」  ドロっとしたものをねじ込まれ、()れたヨーグルトが口の端を汚す。  JCが目を白黒させて、口の端から白い白濁液を零す。  ───うぅぅむ、なんかエロいっ!!  我が姪っ子たる制服JCが、口から白いドロドロとしたものを零す様を見て…、  なぜか満足げに下種(げす)顔の光司センセー。   「うぇぇぇ、なにこれ~…」  シャキシャキとキュウリを齧りつつも、余分な糠もどきを手のひらに吐き出す…  唾液と混じり、糸を引きながら手に溜まる白濁液…口からベっと出す赤い舌と相まって…エロさ、当社比150%です!  やるなエミよ…  叔父さん興奮しました!! 「興奮しました! じゃないよ! 信じらんない、口にいきなり入れるなんて…」  うぅむ…セリフまで()かしてるじゃないかエミぃぃ。  惜しむらくは、 「口にいきなり出すなんて…だな」  おう、思わず言っちゃった! ───テヘ 「サイテー」  俺はサイコー 「死ねばいいのに」  エロさMAXで俺は本望です!  喧嘩しちゃダメ! と、  ユズが可愛い手でエミの口を押える。 「プフ! ユズちゃん、この邪悪なオッサンを成敗しなきゃ、なんだよ?」 「コージにぃは、邪悪じゃないよ?」  うんうん、ユズはエエ子やの~。 「むぅ…どうしてこんな天使みたいな子が、叔父さんみたいなド変態を(した)ってるんだろう?」  人柄(ひとがら)ですな。 「チョーあり得ないと思います」  失敬な姪じゃの!?  シュッシュとティッシュを抜き、ドロドロの口回りと、ベタベタの手を拭いてやる。  なんか、事後の後始末みたいで、これはこれでエロいし…、  なんか後ろめたいなぁ……な~んも、してなんだけど。  ───なんでだろ? アダルティなの見過ぎ? 「…ありがと」  いえいえ、 「で、さっきの何?」  あ、これ? 「キュウリの簡単糠漬ケモドキー♪」───ドラっぽく。  パパラパーンとお皿に盛られたキュウリをかざして見せる。 「そんな四次元からの道具は嫌です」  なんですとぅ? 「あ、でも、意外とおいしいね」  まだ口に残るキュウリをかみしめている。 「だろ?」 「うん、塩味が優しいー」  うんうん、部活で汗かいたら塩ッ気が欲しくなるだろうと思ってな!  決して、萎びたキュウリの在庫処分ではない──きりっ 「あ、在庫なんだ…」  う。 「へー、ユズちゃんにはヨーグルト丸々一個あげて、可愛い姪にはキュウリデスカァー」  おぉう…  そんなつもりではなかったんだけど。  ってか、自分で可愛い言うない。  ……可愛いけど。 「()ねんなよ。ほら全部やるから」  ズイっとお皿の糠漬けもどきを差し出す。  ちゃんとお箸もあるぞ。 「ふ~ん、キュウリなんかで騙されませんよー」  とかいいつつ、ポリポリ食べ始める。  食っとるやんけ!  といいつつも、健啖(けんたん)さを見せられると悪い気はしない。 「コージにぃ……」  おぉう、  ユズよ…そんな切なそうな目で見るない!  欲しいのか?  キュウリ欲しいのか!?  俺の萎びたキュウリが欲しいのかぁ!? 「欲しいのぉぉ…」  ふっふぅぅぅい!?  ぇぇぇい、くれてやるわ!!  人が食べてるの見てると欲しくなる…それは分かる。  とは言え、ちょこっと時間も掛かるし、面倒くさい…  エミはと言えば、なんだかやたらと気に入ったのか、ほとんど食べつくして、口いっぱいにモッシャモッシャと頬張っている…  ──リスかね君ぃぃ?  しょうがないと、やおら起ち上ると、冷蔵庫にある萎びたキュウリを取り出す。  同じ工程を踏むにもヨーグルトは品切れだ。  それに時間がかかる。  さて、  あれで行くか!  男メシの本領発揮だぜぃ!!  本日二度目の男メシ!  全国の巨乳ママ必見。  必見なだけに、巨乳を見せろ。…───じゃねぇぇっっ  老若男女、ロリっ子から老婆趣味、そして棺桶までの幅広い層に試してほしい。  我が可愛い妹分たるユズに「欲しいのぉぉぉ~」なぁんて懇願されちゃ~作るっきゃねぇ!  そうだろ?  とは言え、元来がグウタラ体質の光司さん。  チャッチャチャ~と作れるものしかやる気がない。  言ったはいいが、器具の準備すら面倒くさい…    ……  …  しゃぁねぇ…やるかにゃ~。  つってもあれだ、包丁を出すのも面倒なので、───…まず、キュウリを手でボッキンと半分に折る。  そんでもって、ヘタは口で噛み切って───「ポゥ」と三角コーナーに吹き飛ばす。  幾分水分を失った(しな)びたキュウリ、そいつを指圧で表皮を潰し、何カ所かに圧迫痕を付ける。  あとは、塩をザクっと手で掬(すく)って、荒くもみ込み、浸透させると、ザッと振るって余分な塩を吹き飛ばす。  小皿にごま油をたらすと、その上をキュウリを転がし、傷口のようになった圧迫痕に吸い込ませると…完成!!  ───テッテレ~♪  最後に味の素を多めにかける。  これが重要だね。 【旨塩キュウリ一本付け(ハーフ)】  特徴:半分に折ったキュウリに傷をつけて、     塩とごま油で味を付けただけの簡単調理。     染み込みが薄いため味は淡泊になりガチ。     無理やり味の素で旨味を付けている。     栄養はキュウリ由来なのでほぼ水分。     塩もみのため塩分高め。     ごま油由来のカロリーもある。     調理時間2分。  材料:キュウリ、塩、ごま油、味の素 「お、ま、た、せ~!!」  バーンと効果音を付けながらユズに差し出す。 「…なんか違くない?」  糠漬けモドキを食べながら、横からエミが突っ込む。  知っとるがな!  君が、全部食うてしまうから代理品なんじゃい! 「白いのないの?」  ユズがちょっと不満そうに、エミの口から新たに垂れる味噌ヨーグルトを指す。 「あー白いのはさっき、ユズとエミに出しちゃったからな~」  ヨーグルトと言ってくれ……なんかエロいからさ~、  え~君たちぃぃ! 「叔父さん…ちょいちょいエロい単語に脳内変換してない?」  ギク… 「シテマセンヨ」  ジト~っと、エミが睨んでくる。  さすが俺の姪。  団地若妻シリーズでアンアン言ってるシーンでも動じないだけある。  そして、俺のせいで大分(だいぶ)、脳が侵(おか)させれてるな、ピンク単語に!  明らかに不審者を見る目。 「ユズちゃん…、この叔父さんに変なことされたら、お姉ちゃんに遠慮なく言うんだよ」 「コージにぃ、変なことしないよ? 昨日も大きくて硬い(アイス)の出してくれたよ? 顔じゅう白い(バニラ)のたっぷり付いちゃった~!」  ……  …  Σ  をぃぃ!  ユズぅ、  ユズさぁん?!  言い方、言い方ぁぁぁ  なんか俺が小さい子に、悪戯(いたずら)したみたいになっとるがなぁぁぁぁぁ…  悪戯したみたいになっとるがなぁぁぁ…  なっとるがなぁぁぁ…  がなぁぁぁぁ…  ぁぁぁ…  ふっふぅぅぅい!!! 「サイッテー」  あぁん、もぅ!  ほらぁ、  エミさんが、俺をゴミを見る様な目で見てるよぉぉ。  やめて~~~~!!!  ちょっと気持ちええがなぁぁ!!  ええがなぁぁ!  がなぁぁ!  ふっふぅぅぅい! 「叔父さん、後でちょ~~~~と、だけ…お話があります」 「あ、はぃぃんん」 「??」  ユズたぁん…  自分の発言に気付くことなく、キュウリをパクリと齧るユズ。 「おぃひぃ~♪」  実に幸せそうにキュウリを齧っていた。  ※  姪から、ご褒美…改め、お説教染みた小言を言われ、「ハイす、ハイすぅ」と適当ぉ~に、神妙な顔で項垂れると、ようやくエミが解放してくれた。  そんなオッサンとJCのやり取りなんぞ見もしないユズ。  子供向けのアニメがTVで流れ始めると、ユズは興味を失ったかのように、叔父さん&エミを放ってTVに夢中になっていた。 「もう、子供にあんまり変なこと教えないでよね? このくらいの子は周りの影響を受けやすいんだからっ」  はい、エミさん見てるとよくわかります。 「はぁぁ、まぁ、いくら叔父さんが、スケベで変態でスケベだとしても、小学生に手を出すようなことはしない、ってのは分かってるけどさ」  当たり前です! ──ってかスケベって、二回も言うないぃぃ  まったくも~ユズたんに懸想(けそう)なんてしませんよ…可愛いけどね。  女はJKから、  でも、オッパイは特例です。  オッパイがデカいなら、俺はロリでも行ける気がするぅ!  斉藤ママのオッパイを基準とするなら、  あの見事な美事なオッパイは、コスモ…、いや……太平洋です!!!  太平洋並みのオッパイを誇るJS…そんなもんいたら…ゴクリ  うむ、いけるな!!!  とはいえ、ロリは犯罪。  ダメよ犯罪。  オパイは正義!  正義は警察!  警察オパイ万歳!  オパーイ!!  オパーイ!!  ジィィィク、オパイ!!  故に女はJKから、  日本国が16才からの結婚を認めてるぅ!  そこんとこから言えば…  エミよ…お前はあと数年、──叔父さん期待しちゃうよ~  あ、でもオッパイは、……まぁ琵琶湖くらいかね(笑) 「殺してほしいんですね?」  はぅ!  また出てた。  この口めぇぇ。 「と・に・か・く! 子供の前で、変なことしない、変なもの見せない、変な人生送らない(・・・・・・・・)、いいです?!」  えー……最後のドゆ意味ぃ? 「分かったら叔父さんはお皿とか洗ってきて! そしてぇ、私はユズちゃんを愛でますぅぅ、…可愛ぃぃねぇぇぇウリウリウリウリウリィィ」  言うだけ言って、ユズを背後からグワバと捕まえて相変わらず、頭をカイグリカイグリしている。  うーん、だから、ご利益はないんだよ?  知ってる?  あ、でも、斉藤親子だから、「巨乳のご利益」はあるかもね。  ユズも、ああ見えて結構立派なんですよ?  ──琵琶湖の誰かと違って、瀬戸内海でっせ!  そうなんです、意外と大きいんですよ~  そう、  エミちゃん…お前よりもな(笑) 「あとで殺しますね」  はぅあ、また口に出てた!!  プーンとそっぽを向きつつ、ユズを愛でているエミ。  しかし、見たぞ!  ──こっそり、自分の胸とユズのソレを見比べていたこと、俺はしっかりと見たぞ。ケケケ。  安心しろエミ!  需要はある!
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加