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「いえ……」
「痴漢自体も勘違い女の妄想なんじゃないかって、思われたんだろうな」
「……そんな、ことは」
僕が、というより周りが、というイントネーションの言葉に、否定しつつ言い淀む僕を見上げて、女性はお茶をきゅっと開けました。
細い喉で豪快にごくごくと飲み干し、やけくそのようにビン・缶と書かれたかごに放り投げます。
がんっと、硬い音がして、ペットボトルは弾かれてホームの汚れた床に転がりました。
僕は歩いて行き拾い上げ、かごにそっと入れました。パンパンのかごの中は、ごちゃごちゃと色々な銘柄の飲み物が詰め込まれていて、中にはちがうゴミなんかも突っ込まれていて、都会の縮図のようでした。
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