まぐろなじーちゃん

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 ◇◇◇  もちろん母からもこっぴどく叱られながらも母の目にも光るものがあった。 この日、一人増えた我が家の食卓はいつもより賑やかでいつもより暖かかった。  私達の心配をよそに動き回っている祖父は、元気で良いわね〜と言われ「うちのおじいちゃんはまぐろみたいなもんだからね」と冗談を返してはいるが、私達家族にしてみたらたまにひやひやなのです。  私の祖父は数年前に祖母が他界してからは一人暮らしだ。  すでに仕事もやめてはいるが毎日どこかしらに出かけては誰かの家の修理を手伝ったりして小銭を稼いでる。  そんなしっかりしている祖父だが、すでに何回も心臓手術を受けている。胸ポケットには、ニトログリセリンの小瓶を入れている。  それでも、私に競争だ!といきなりかけっこを始めたり。  私や家族がきっと喜ぶだろうと思うがらくたを届けにきてくれたりちょっと迷惑なところもある。  まったくマグロのような祖父は、動き回るのを止めてしまったらきっと・・・。  いつまでも元気でいてほしいから・・・   「まぐろのじーちゃん」でいてほしい。 ≪おわり≫
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