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俺の思う意見全てを否定するようなその言葉は、間違いなくベンチの前で立ち上がって普通なら寒いような独り言に向けられたもので。
その死んだような目は、確かに俺に向けられてる。
その声は、俺に言ってる。
「・・・俺が、幽霊?」
頭が吹っ飛んだ奴だって、そう思った。
俺自身今さっきまで本当に死んでいて幽霊で公園を彷徨っていてなんて勝手に仮説をたてて、信じていたはずなのに。
他人に言われると拒絶反応でも出るのか、妙に否定したくなる。
そんなの違うって。
変に突然込み上げてきた感情はどこか妙に鬱陶しくて、何だか嫌で仕方がない。こんなの平気なはずなのに。
「そうだ、オマエは幽霊。」
「・・・本当に死んだのか?」
「本当に死んだ。オマエはあの時、確かに死んだ。」
「それを断言出来るなんて、お前は何様なんだよ。」
揺るぎない言葉も、確かに目の前で見ていた俺自身の亡骸も。何もかも夢だって否定したいけど。
どうも、俺は疲れてしまった。
もう良いや死んでたって。この世に残したもんなんて何一つないし。周りは進学に一生懸命でも俺にはつまらなく見えてた。
あの進路調査書だって、あんな答えを書いて。
馬鹿みたいだ。
疑問に思うことをそのまま口にして問いかける俺に視線を向けたまま、一つ瞬きをしたソイツは小さく溜息を吐いてそっとフリースケープの首元から手を突っ込んで何かを取り出す。
それが音を立てて目の前に現れた時、俺は少しのデジャブと恐怖で思わず尻もちをついて座りこんでしまった。
目の前に現れたそれに。
どこか騒がしい風にその長い髪の毛を靡かせて、奇怪な音を上げて鳴り響くそれを地面に突き立てて。
「"オレは死神だ"」
黒と青の不思議な色使いの長くて光る鎌を首元から出したそいつは、ハッキリそう低い声で言い放った。
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