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「・・・あ?何だよ。」
ヒイイ!っと小さな悲鳴を上げた木下夕貴の髪の毛を引っ張り上げた金髪は、叫び声に反応して不機嫌そうにこちらを向いた。
眉間に皺を寄せた、あの日、高校を落ちた私を見た母さんのような嫌悪に似た顔で。
普通ならこんなのしない。こんな私にとって無意味で不利なことなんて絶対しない。
それでも私が叫んでしまったのは。普段あるはずの理性のようなものを爆発させてしまった理由は、きっと。
大事なものを馬鹿にされたから。
もしかしたら彼女・・・木下夕貴も、こんな感情だったかもしれない。アニメの事は何も知らないけど、彼女にとってそれがとても大切な大事な存在だとしたら。
それを秘めて大切にしてたとしたら、きっと。
――"同じ気持ち"だったのかもしれない。
「くだらないって言ってるのよ。」
「は?」
「貴方達、恥ずかしくないの?皆で女の子を虐めて馬鹿みたい。アニメだか何だか知らないけれど、彼女のそれが気持ち悪いって思うんならそれは間違いよ。」
「何言ってんだよ、お前」
突然大きな声で喋り始めた私を皆が奇妙そうな顔で見て、木下夕貴は驚いてる。そりゃ驚くだろうな、きっと。
私はきっと彼等にとって、ただの無口な優等生ってだけだったと思うから。
それでも、それでも私はもう感情を止めることはできなくて。
ペラペラと喋りだした口からは今まで思ってきたもの全てが流れ出す様に出てくる。
「女の子を大人数で虐めて、それで優越感を得て。偉くなったと思ったの?クラスで一番偉いって、自分は王みたいだって」
「な、なんだよそれ。」
どうやら思ってたらしい。
腐ったような教室が今になって臭くてたまらない、気分的にも空気的にも。腐った弁当箱もパンも、なぜか人間に比べれば綺麗に見えた。
だから、汚い人間に良い子でいる必要はないと思うから。
「アンタなんか!アンタ等なんか、ゴミクズ以下よ!木下夕貴の方が綺麗だわ!頭からゴミを被ってたって、匂いが臭く立ってアニメが好きだとしたって。こんな事で優越感を得て我が物顔で居座るアンタ達の方が、ずっと臭いし汚い!!そんな人間は世間では、クズって言うのよ!」
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