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―――やってしまった。
荒く上がった息をしながら、シーンと静まる教室の中で大声で叫んだ私は途端にハッとした。
言ってしまった、ずっと思ってること全部。
目の前で目を丸くして驚いてる金髪や、黙りこくって驚くクラスメートも、頭の上にゴミを乗せたまま座り込んでる木下夕貴も皆、驚いてる。
きっと人生の今までで、クズなんて人に言われたことがなかったんだろう。木下夕貴以外は誰もかれも。
正気に戻ってヤバイってそう思った私よりも早く、それは起った。
――ガン!
「・・・・っ!?」
勢いよく強い力で引っ張られた髪の毛から伝う頭皮の痛みに顔を歪めている私は、次の瞬間には床へ叩きつけられてて、強く背中を打つ。
呼吸が一瞬出来なくなるような痛みを感じた。
ゲホゲホと咳をしながら顔を上げれば、隣に座る木下夕貴が「大丈夫!?」と心配した様子で背中を摩っている。
これで大丈夫だと思わないでよ。
そんな風に自分がしたことに対して起る代償のようなものに顔を歪めた私の髪の毛をまた掴んで金髪は私を睨んでみている。
どうやらキレさせてしまったらしい。
「誰が人間のクズだって?お前が一番そうなんだろ?」
そう言う金髪は、私の顔近くまで顔を近づけて小さな声で確かにそう言った。
今私が、世間に対しても自分の母親に対しても一番バレたくないものを淡々と平然と簡単に。
クズは私もだ。
「お前、今度ある定期テストの"カンニングペーパー"作ってるよな。」
――バレてる。
目を見開く私と、隣で驚く木下夕貴以外どうやらクラスには聞こえてないらしい。いつそれに気づいたのか金髪はキレたまま、そう静かにニヤリと笑った。
確かに、私の筆箱にはカンニングペーパーが入ってる。
「まあ、俺は優しい性格だからお前とお前にチャンスをやろうと思う。イジメは今やあってはいけないことだしなー?」
そうやってクラスに語りかける金髪は、パン!と手を鳴らして次の瞬間、ニヤリと笑った。
「今、話題なってる心霊スポットがあってよ。一度入ったら帰ってこれないらしい、そこにいるキリュウって名前の悪魔に、魂を食われるらしいぜ?」
「・・・それが、何の関係が・・」
「だからお前等、そのキリュウがいるっていう幽霊倉庫に行ってこいよ。」
――帰ってこれたら、許してやるよ。
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