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「――それで、行方不明者が多発してるって?」
「は、はい!さすが榎木さん、頭良いですね!」
「それ、褒められるようなことじゃないわよ」
――仮に、キリュウがいたとして。
そのキリュウは此処に住まう悪魔だって言うの?そんなの馬鹿げてる、本当に馬鹿みたいな話だ。
確かに今まで気付かなかった、この倉庫の存在だって存在感が薄すぎて私が今まで気付かなかっただけで元々あったにすぎないだろう。
古びた倉庫であっても土地の所有者が申し出ない限り取り壊しは出来ないはずだし、それを考えれば時代に不似合いなこれがそのままなのも納得できる。
悪魔なんて、幽霊なんてこの世にいるはずない。
行方不明者だなんてもしかしたら夜逃げする家族が変な噂を立てて逃げやすくするためのウソかもしれないし。その可能性の方がより現実味があってありえると思う。
第一人の魂を食らう、だなんて馬鹿げた架空の世界の話がこの世に存在するはずない。
そんなの人間が勝手に擬人化したようなただの恐れる感情そのものに過ぎないはず。
「悪魔なんていないわよ。」
「・・・そうですか?」
「早めに倉庫一周でもして、証拠写真撮って帰りましょう」
怯える木下夕貴を連れて私はその不気味な倉庫に足を踏み入れた。
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