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「 G h o s t 」
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楠木遥、高校三年生。
都会・・・とはあまり言えない微妙な街に住む高校生で、性別は男、血液型はA型の極普通な高校生だ。
趣味は好きなアーティストの曲を聞いたりすることや読書で、特技はこれと言って持ち合わせていない。
初恋は幼稚園生の頃に済ませたし、交際だってもう何度かしている。経験もそれなりって事だ。
通っている高校は県内でも平均レベルの特にこれといった自慢も出来ない所で。そんな高校内でも成績は常に普通、平均だ。
頭が良くも悪くもない俺は、これといった夢も持ち合わせておらず。残り三か月になる先のセンター試験に向けて必死になって勉強しているクラスメートの中、一人ぼーっと焦らずゆっくり勉強している。
先月辺りに調査した"最後の進路調査"で何を書こうにも夢も希望もないような冷めた頭で、少し考えた。
「――"今"じゃない何か。」
帰りのホームルーム終了後に一人だけ呆れた顔した担任教師に呼び出された俺が訪ねた職員室で自分専用の机に肘をついて、困った顔で一枚の紙きれを見せてくる担任。
あの、進路調査の紙だ。
乱雑な汚い字で書かれた"楠木遥"という名前の下にある、第一志望のゴシック体の文字の隣に書いてあるその言葉を読み上げながら担任は額に手を当てた。
「この先、先生はお前の将来が心配で仕方無いよ。」
余計なお世話だ。
素直に口に出してそう告げた。
目の前で顔を真赤にして怒りだす担任はやれ「先生は心配して」だの、「お前の将来を真剣に考えてくれているんだぞ」だの偉そうな口ばかり叩いている。
そんなガミガミした五月蠅い言葉達をサラリと右から左へ受け流すなんて昔のギャグみたいにかわしていれば、半ば諦めたような顔で担任が「・・・帰って良いぞ」なんて声を出したのを合図に。
「じゃ、失礼します。」
なんて俺は躊躇もなく職員室を出た。
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