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「・・・何なんだ、本当」
大騒ぎだった先ほどの警察がブルーシートで隠した俺の死体は、すぐに回収されてそれと同時にザワザワと騒いでいた野次馬もどこかへ消えていった。
―――確かに、アレは俺だった。
あの赤い血で汚れて既に冷たくなった様子の高校生は確かに俺だった。何も警察の人が発言した名前が一緒だったからとかそんな単純な理由じゃない。
顔も一緒だったから。
少し近くで放り投げられた俺の持っていた袋にはきちんと担任から押し返された血で少し汚れた進路調査書が入っていて。
そこにはやっぱり俺の字で俺の名前が書いてあった。
そこでだ。
今俺が不思議でしょうがなくって困惑していること。
何故、仮に死んだ俺が今、夜中の公園のベンチのような場所で一人座っているのかということ。
先ほどの死亡現場みたいなところからは自分で移動してきた。あんなに血なまぐさいところにはあまりいたくないし、何だか気分も悪い。
それに、自分が死んだ場所にいるなんて何だか不気味で仕方がなかったからだ。
「寒い。」
少し身震いしながら自分の格好を見れば、何故か未だに制服を着ている。そりゃ真っ裸なんて嫌だから着ていて問題はないんだが。
それでも少しだけ何故シャツの襟の部分に少し切れ目があったり、着ているブレザーが少しだけ汚れているのかは不思議だが、まあこんな時期に外で真っぱなんて自殺行為だからそこは感謝しておく。
・・・ああ、死んでるんだった。
普段の俺ならこんな非現実的な事実は受け止めることはまずないし、夢か、これは夢だと理解して終わりなんだけれどそれを否定できなくなる理由が一つある。
"痛み"だ。
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