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そもそも、俺の死因は何だ?
仮にだ、もし仮に俺が死んでいるとして。いや死んでる可能性の方が高いんだけど、もし死んでいるとしたら理由があるはず。
そうだ、何かキッカケが無けりゃ人は命を失うはずがない。一人でに勝手に息を止めるにしろ、体には何か変化があるはずだし。
なんて思って体を触りまくったって馬鹿みたいにシャツの上から体を覗きこんで何か変化がないかと探しまくっても、何も見当たらない。
一つ、肩から鎖骨辺りに伝うように這う傷以外。
「はあー!」
何だかそんな風に推測してるのさえ少しだけ面倒を感じて、両手を伸ばしてベンチの背に後頭部を擦りつけて態度悪く座ってみたりする。
きっと、学校の教師が見つけたら怒鳴るようなそんな悪い態度で。
少し格好つけるように、それほど気にしてないにしろ何だか皆がやってるのでそうした、だるっとした腰辺りで止まっているズボンが少し脱げそうになるのに気づいてそっとズリ上げた。
「ははっ、格好悪い」
いつもよりずっと真面目そうに。でも、何だかダサい服装に見えた自分の姿に一人でに笑う。
こんなの、誰かに見られたらダサいどころの話じゃないな。ダッセーってきっと笑われるかもな。
って。
「・・・死んでるんだった、俺」
――仮、仮だけど。
未だに受け入れてるようで受け入れきれてないその事実だか夢だか分らないようなそれに逃げるように視線を空へ向けて見上げてみれば、先ほどとは違う一面が広がる。
"赤"とは違う、黒に近い青。一粒一粒、小さな黄色が、光が混ざるそんな星が散りばめられた夜空。
世の中にとっちゃ、平凡な一日で。それは俺にとっても変わりないはずだったんだけど。
一日の終わりの、ラストスパートにとんだハンデ負ってしまったらしい。
「・・・空は、こんなに綺麗なのに。」
どうやら死んだらしい俺はもう既に少しだけ事実を受け入れ始めたらしい。妙に落ち着いたそれが少しだけ嫌になった。
昔からだ、そんなの。
「気持ちが悪いのは、昔から。」
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