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俺が意見しても、レイチェルは変わらなかった。相変わらず、自分からアレクに近づくことはない。だが、アレクが話しかけると潤んだ瞳の恋する乙女の顔で彼をうっとりと見上げるのだ。何も変わってはいない。
だから俺は、いつもレイチェルとアレクのことを見張っていた。彼女は大抵いつも大勢の人間に囲まれていて、アレクが話しかけに行くときもそれは変わらなかった。だがもし、俺が初めて話しかけた時のように彼女が一人でいる時に、アレクが偶然居合わせたとしたら。考えるだけで苛々する。
そんな状況を許せない俺はせっせと見張りをしていた。その甲斐があったのか、彼らが二人きりになることはなかった。そして、レイチェルが一人でいるのを見つけると、声をかけて意見した。とはいえ、そんな機会は片手の指で数えるまでもない程しかなかったが。
そのまま、俺とアレクはセカンドスクールを卒業した。
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