追憶と傷跡

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◆11 「体に……」 歩夢の言葉に、空気が震えたように感じて振り返る。 「零夜、手伝って」 「え?」 ジャージ姿の零夜にソファーに押し倒されて呆気にとられる。 「ごめん……なさい」 すぐに起き上がろうとした俺に体を摺り寄せる零夜。 「な……にっ」 刺されて傷跡の残った箇所を、歩夢にシャツ越しに撫でられて体がすくむ。 「好きです……」 「ちょっ」 「好きです。好き……。抵抗しないで下さい」 「い、い加減に!」 ぐーで殴ると、零夜の唇の端から血が滴る。 「好きだなんて言うからいけないんです」 その血を自ら拭った零夜。 「僕だって好きなのに」
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