追憶と傷跡

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◆12 気づけば朝だった。 俺はすぐに自分の体を見下ろした。 (服は乱れてるけど、一応着てる……) 傍らを見ると、ニコニコしてソファーに座る零夜。 床を見下ろすと、失神している歩夢。 「え? どういう状況?」 「あー、僕が殴ったんです。歩夢を」 「は?」 「めっちゃ油断してたんで……」 どういう状況かさっぱりつかめない。 「なんで零夜くんが歩夢くんを?」 「なんかムカついたので」 その答えは予測つかなかった。 「だって、おかしいでしょう? 僕だって、幸他くんが好きなのに」 「それ、冗談じゃなく?」 「本気ですよ。だから、双子でも兄弟でも裏切ります」 「悪い奴だな~」 でも、嫌いじゃない。 「そうですか?」 「そうだよ。嫌いじゃねぇ」 「……それは、よかったです」
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