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◆7
一度、気になると止まらない。
何がって、隣から聴こえる、すすり泣く声だ。
(零夜の部屋からだよな)
何か悲しいことがあったのかもしれない。
「仕方ねぇなぁ」
俺はコンビニで買ったジュースとお菓子をもって、零夜のとこのチャイムを鳴らした。
大きな物音がした後、シーンと静まり返る。
何かあったのかもと思うと、無理やりにでもドアを開けたかったが、まだ知り合いたてだし、色んなバージョンが考えられる。
学校での時みたいに誰かといる場合、泣いていたから恥ずかしさで出られない場合、それから……。
「……?」
その時、ドアが開いて、ジャージ姿の零夜がひょこっと顔を出した。
「大丈夫か?」
「何……が、ですか?」
「いや、泣いてたろ」
「……聴こえたんです?」
なんかすげぇ気まずそうな顔。
「? うん。泣いてた」
「今後、気をつけます」
バタン、と閉められて、えっと思う。
「あー!」
折角、慰めにきたのに!
チッと舌打ちすると、またドアが開いた。
「どうかしたんですか?」
「慰めようと思って、持ってきたんだよ。ほら」
受け取れと、お菓子とジュースを差し出す。
「……入ります?」
「おう」
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