追憶と傷跡

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◆9 いっぱい食べて、ジュースも飲んで、俺はヒーローで。 満たされた俺は、零夜の家のソファーで眠った。 「ほんと、いい人だ」 頭を撫でられたような気がして目を開けると、そこには零夜がもう一人。 二人して、俺を目の前で見下ろしている。腰をかがめて。 「んあ?」 「歩夢……って言えば、わかる?」 えっえ、と左右を見比べる。 「双子なんだよねぇ。ボク達」 なるほど! って納得はしたが、お礼言いにくるの超早い。 「なんで、ここに」 「ボク達の家だから」 「あ……」 「ほんとは幸他くんが助けてくれた人だって、だいぶ前から知ってて、それで隣に越してきたんです……。でも、本人の口から聞きたかったから……。ごめん、幸他くん」 そんだけ人に感謝されるって、ほんとないと思う。 「そこまで感謝されると照れる」 「幸他くん、あの時はありがとう……」 口下手なんじゃないのか? ……ってツッコミをしようとしてやめた。 「イイコト出来たならいいよ。んじゃ、俺帰る」 「! もう?」 「え、だいぶ寝てたんじゃねぇ?」 「もう少しいてくれても……」 そんな見つめるような顔でもないと思うが、二人には神様みたいに見えてる? 「あ、そういえば……」 「何?」 「何です?」 「ラスボスが、歩夢くんのこと言ってた気がする。彼だって」
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