目立ちたがり屋でジャグリング上手なあいつへ

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「今、どこにいますか?」 「昔の友達訪ねてみました、秋の二時間スペシャルー!」 「さぁ、やってきました今日の舞台は愛知県! ゲストは今を時めく大人気YouTuber、『すぐちゃん』さんでーす!」 「はいどーもー! 『すぐちゃん』と申します! よろしくお願いします!」  人気若手芸人のお決まりのフレーズで始まったテレビ番組、「今どこにいますか? ~昔の友達訪ねてみました~」の収録。タイトルのとおり、毎回ゲストを呼び、ゲストの子供時代の友達や恋人などを訪ねる人気企画。  その「秋の二時間スペシャル」のゲストの一人に選ばれた、YouTuber・「すぐちゃん」こと(すぐる)は、カメラに向けて愛想のよい笑顔を振りまきながら、心の内では闘志をメラメラと燃やしていた。 「さぁ早速ですが、すぐちゃんさん、今回会いたい人というのは?」 「小学校の同級生、愛斗(あいと)くんです」 「ほう、その方とはどういったご関係で?」 「親友でした」  嘘だ。本当は親友だなんて思ったことは一度もない。  傑にとって愛斗は、一言で言ってしまえば「ライバル」。勉強も運動も人一倍できた傑が、唯一、何においても勝つことができなかった相手、それが愛斗だった。忌々しい思い出。輝かしい傑の人生におけるただ一つの汚点。  だけど今は違う。傑はYouTuberとして大成功をおさめ、巨万の富と名声を手に入れた。日本でも有数のと言っても過言ではない。 「それではすぐちゃんさん、愛斗さんのお家に向かいましょう」  今日こそ愛斗に勝って見返してやる。傑は鼻息荒くロケバスに乗り込む。バスは焦らすようにゆっくりと、愛斗の家に向けて走り出した。
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