目立ちたがり屋でジャグリング上手なあいつへ

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 番組収録が終わり、マネージャーの運転する車で家に帰る途中、一件のLINEが入った。  高谷愛斗、と表示されている。 いつも動画観て元気貰ってるよ。僕も負けないように頑張るから、またどこかで会えたらいいな。 親友兼「ライバル」の愛斗より 「……誰に連絡先聞いたんだよ」  誰にともなく呟き、一人涙をこぼす。今日も愛斗には勝てなかった。やっぱり愛斗は大人で、傑はまだまだ子供だった。  だけど、次こそは。涙を袖でぐいと拭う。 「マネージャー。帰ったら、早速動画撮ろうと思うんだ。とびっきり馬鹿で笑えるやつ」 「と言うと?」 「うーん、ロレックスを落として壊す動画とか?」 「そんなの、炎上案件ですよ」  マネージャーが苦笑する。確かに、と傑も笑う。  仕事の借りは仕事で返す。自分の仕事は皆を笑顔にすること。だから。愛斗が行き詰った時、ちょっとでも元気が出るような動画を。  そして、いつの日か……。  傑は、実は目立ちたがり屋でジャグリング上手なライバルの顔を思い出し、フッと顔を綻ばせた。
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