三 かいこおきてくわをはむころ

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 今の気持ちを一言で表すなら、シロップを入れたアイスミントティーだと思った。口元が綻ぶほどに甘くて、だけど胸の中は爽快だ。  幸太も大志も朝陽も、同じような気持ちだったのだろうか。それとも、大人になると、中の氷が溶けて、こういう気持ちも薄まるのだろうか。  だとしたら、大人は少し寂しい。  そんな事を考えながら、陽向はLINEを開いた。一つ伝え忘れていた事柄を思い出した。  ——そういえば、小澤くんが、心配してたよ。  すぐに返信が来た。一緒にお弁当を食べた事も、岡田と意気投合して仲良くなった事も、橋北は知っていた。  小澤が連絡したのか、岡田が連絡したのか。どちらにせよ、橋北はとても喜んでいる様子だった。  ——あいつマジで良いヤツだよ。チャラいから誤解されやすいけど、あれで真面目だし意外に繊細だから。仲良くしてやって。  岡田とも打ち解けていたし、確かに悪い人じゃないのだろう。中学二年生の時も、明るくてはでやかで調子が良くて軽薄そうだったが、たぶん、本当に軽薄ではなかった。  了解のスタンプを送り、スマートフォンを机の上に置いた。  明日の朝、ちゃんと幸太と仲直りしよう。逃げるが勝ちだと言った幸太の気持ちも分からなくもない。  分からなくもないが、美琴の登場は陽向にとって凶兆に思えた。  やっぱり、陽向が幸太を守らなくてはいけない。  一度手放したスマートフォンを再び手にした。  福丸と写る橋北の写真を画面に表示した。  大丈夫、守れる。全部守れる。  スマートフォンでは橋北が微笑んでいる。画面をそのままにして、陽向は目を閉じた。
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