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スマートフォンをスーツにしまいこんで、一人家を出る。
こんな日なのにあいにく空は燦々と晴れ渡っていて、蒼天のまんなかにある、火星でも昼の月でもない、今や太陽よりも強く輝く一点が、ぼくの目にちかちかと合図を送っている。
住宅街は閑散としていた。お隣さんのまるっこい柴犬が、庭から柵へ乗り出してこちらを威嚇せんばかりに吠え立てていた。しかし悲しきかな、リードの端は家の縁側を支える柱に繋がれていて、今日という日から逃げ出すこともかなわないようだった。
家主の姿は見えない。
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