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『ねぇ?今日は、皆でパーティするよね?準備の役割覚えているよね?!』
『あぁー、もちろん!!その為に買い物をしてきたんだぜ。』
『えー?見てみたい!!ね、いいでしょ?』
空を見ていたはずの二人はなにやら話している。
『まったく、しょうがないな。』
うるうると瞳を濡らす女の子に、男の子は渋い顔をする。
……………。
男の子に甘えたように見る女の子は、さり気なく両腕を後ろへ持っていき、おねだりをするように身体を男の子へと向ける。
右足の踵は軽く持ち上げて、左足は半歩下がるような形。
腰をくねらす姿に男の子も満更そうな顔だ。
しかし、右腕の手にはなにやら小さい容器の様なものが握られているのが見えた。
……いつの間に、目薬。
確信犯だわ、彼女。
そんな女の子の不自然さには気が付かないらしい男の子は、にやにやしながら持っていたらしき、どこかのメーカー入りの紙袋の中をゴソゴソし始める。
『ジャーン!!今回はコスプレだろ?俺はこれにしようと決めたんだ。』
紙袋から取り出した衣服に、思わず声を出しそうになった。
定番中のコスプレ。
ハローウィンには当たり前すぎるものだ。
『スゴーイ。これを着て、いろいろと手を加えるんだよね。真姫、楽しみーーー。』
『へへ。悩んだんだけどさ、こういうものもありかな?と思ったんだ。』
純粋?に喜ぶ女の子に男の子はニヤニヤしている。
きっと、この後の出来事だよね、ニヤけているのは。
話に花が咲いた二人は密着するように身体をくっつけながら、何処かへ歩いていく。
いいなー、あんな風に絡める事が出来て。
終始のアツアツムードの二人に目が離さずに見つめた。
そっかー、恋人達の為でもあるのね!!
私も頑張ってみようかな。
最近は、仕事ばっかりで構ってくれなくなった私の彼氏さん。
仕事といってもね。
先程見えた衣服を見て思った。
この世界では、私達のイメージは、ああいうものなのね。
ーーーーー“吸血鬼“
太陽に弱くて、陽の光を避けないといけない生活をする。
夜に行動をするのが主流で、殺す時は聖水か、胸に杭を打ち付けるか、特殊の拳銃を使うのもある。
そして、衣装にはマント。
黒いマントを翻し、登場するらしい。
と考えるのが、この世界では思われている。
実際は違うけど、太陽の光を浴びても、聖水を掛けられても死なない。
ただし、捕らわれて、杭を打ち付けられたり、特殊の拳銃で撃たれれば死ぬかもしれない。
その為に、私は何年も訓練されたから。
この世界に来る為にあらゆる訓練を。
それは私には目的があるから。
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