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私と成音の関係は、あの世界では認められている関係。
あの方は、そういうのは興味がないらしいから、だからこそ許可を貰えたのよね。
ーーー支障がなければいい。
淡々とする言葉に成音は拍子抜けしたとか。
私達の上司である、あの方は、今は別の場所にいるらしい。
今日のハローウィンも、きっと興味は無いんだろうな。
冷たい目をしていて、冷酷と呼ばれる、あの方は恋愛にはまったくといって無関心だから。
「この日は特別騒いでも許されるみたいだな。」
満面の笑みの中に見える牙に思わず苦笑いをする。
「私達だけでも何か楽しもうよ。」
「楽しむか。何がいいんだろうな。」
ふむと考え込む。
その時。
『トリック・オア・トリート。お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうぞ!!』
可愛らしい声に、私と成音は同時に振り返った。
紺色に近い青いトンガリ帽子に、黒いワンピース。
首元には沢山のフリルが付いていて、腰から下はふんわり広がっている。
膝小僧より上の短さに、手には手作りのカボチャの入れ物を持っていた。
どうやら魔女の格好らしい。
思わず固まっていると。
『ごめんなさい。目を離したすきに、申し訳ございません。』
走ってきた女性は私達を見て、ひたすら頭を下げていた。
私と成音は顔を見合わせた。
「大丈夫ですよ、ただびっくりしただけですから。」
ふわりと笑う成音に顔を上げた女性は顔を赤くさせた。
…………面白くない。
あまりにも整った端麗な顔つきに、スタイル抜群、足が長くて、何より人を惹きこむ魅力を兼ね揃えている。
『あ、あの。こ、この近くにハローウィンのパーティをしているんです。地域住民主催のなんですが参加してみませんか?』
相変わらず顔を真っ赤にさせて、視線は成音へ向けられている。
「いいですよ、彼女も一緒で大丈夫ですか?」
呆けている私の身体を力を込めて引き寄せる。
あまりの近さに、私の頭が混乱でパニックを起こしそうだ。
『彼女さんですか?』
目の前にいる女性は私を見る。
『良かったです!!是非参加してください。』
満面の笑顔で微笑む女性に、側にいた女の子も何故か笑顔だ。
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