ロマンチスト

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 およそ十秒間の沈黙が走った。  た、耐えられない。ダメならダメと早く言ってくれ。 「ふ、ふふふっ」  伽耶が突然笑った。それによってさらに不安が増した。 「え? 何? どうして笑うの? なんかおかしかった?」  気になって仕方がない。今どこにいますか? がおかしかったのか? 「どうせ、あれでしょ。あんたのことだから、『今どこにいますか?』に、『あなたのとなり』とか、そんな感じで答えてほしかったんでしょ?」 「そ、そう! よく分かったね!」  伽耶だから分かってくれると思っていた。それが聞きたかったから、今どこにいますか? は外したくなかったのだ。 「どこまでもロマンチストなやつめ」 「え? そう?」  その返し方は結局、どっちなんだ? 良いのか? ダメなのか?  その答えは、伽耶の言葉ですぐに分かった。 「いつまでもあんたのとなりにいてやるよ」 「本当に!?」  伽耶の口からそのような言葉が出てくるのが驚きだった。 「案外、伽耶の方がロマンチストだったりして……」 「そんなことない!」  伽耶は、自分の言ったことが恥ずかしかったのか、頬を少し赤らめていた。
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