プロローグ

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プロローグ

 ドルルルルルルルルルル……──  ギキィィィ…!!!!  カシュー…  750ccの力強いエンジン音が止むと、辺りは静寂に包まれていた。  色の抜け落ちたような街は、暗く…静けさに満ちている。  「ふぅ…」  サイドカー:ウラル(ギア・アップ)からアタシは降りると、ため息一つ。  被っていた中国軍の戦車兵用ヘルメットを外し、ハンドルに引っ掛けた。  ───夕日が沈んでいく。  キラキラとした残照が低い山(藻岩山)に隠れようとしている。  山の淵に掛かった太陽光が光線を引き、ヘルメットに掛かっているゴーグルの金属部分にキラリと反射したのを境にスッポリと山に隠れてしまった。  ヘルメットのせいで癖のついてしまった髪をワシャワシャと(ほぐ)しながら、 「さて、暗くなる前に寝床探しね」  軍用ヘルメットと共に、ミリタリーショップで手に入れたフラッシュライトを手に、街へと踏み入る。  目の前には、流れの留まった川のように…車群が所々で蛇行する様にして、ウネウネとどこまでも続いていた。    その車群は前述の通り、流れが止まった川の如く…  その表現がピッタリ合うように、動きを止め…1ミリたりとも動かない。  暗くなりつつあるというのに、ライトは点灯しておらず…街と同じく静かに暗闇に沈んでいこうとしていた。 「燃料と、ご飯…あとは寝床、ベッドがあれば文句はないけど…シャワーがあれば尚良いねぇ」  頭にはヘッドライト、着込んだライダー用の高級ジャケットの胸にもライト。  そして、背に自動小銃(ライフル)を背負った状態だ。  物騒極まりないが、  自動小銃には安全装置がかかっており、早々に撃つような場面ではないようだ。  よく見れば、小銃にもライトが固定されており、彼女が恐れているのは闇だと容易に理解できた。 「北海道は、水タンクのある建物がほとんどないのよね…」  ブツブツと独り言を零しながら彼女はいく。  暗く、  静かで、  寂しげな街───  北海道最大の札幌の中心地へと…
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