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僕はこのベストタイムにとてつもない将来性を感じ、ぜひここで働きたいと第一志望にしていた。
周囲には「マッチングアプリ?」と怪訝な顔をする人もまだ多い。
特に僕の親世代にはこういったシステムを説明するのは少し面倒だ。
でもきっと今後は高齢者もどんどんベストタイムを利用してくれるようになるはずだ。
文系大学出身の僕には、プログラミングのスキルはない。
なのでベストタイムには事務職として採用された。
社長室に配属になったときは、うれしくて顔がにやけた。
憧れの社長の右腕になり、一緒に300人の社員たちを支えていきたいと意気込んでいたのに……。
新人研修先として指定されたのは、会社近くのオフィスビルの3階にある「伊吹相談室」という、こじんまりしたスペースだった。
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