3.二人を隔てるもの

1/1
前へ
/9ページ
次へ

3.二人を隔てるもの

そんな淋しさを抱えながらも、お互いを信頼して、愛を育んでいた。 …つもりだった。 ある日、知らない女性からの電話。 彼を愛しているから身を引いて欲しいと。 ここ数ヶ月の間に彼に何があったか知っていますか? 彼の過失で交通事故を起こし、相手を怪我させ、自分も怪我をしたと。 精神的にも追い込まれ、それを側で支えたのは自分だと。 近くにいない貴女は、どんなに彼が困っていても、傷ついていても、助けるどころか気付いてあげることもできないですよね? 何も知らなかった。 少し前のこと、 「会いに行きたい」 私が言えば、 「ごめんね…卒論あるし、就活も結構忙しくてさ…」 時期的にもそうだと思い、邪魔はできないと思った。 「そっか、それじゃ仕方ないよね。頑張って」 「うん、ありがとう」 そのやり取りの陰に、そんな事実があったなんて、考えもしなかった。 バカだな…私。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加