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3.二人を隔てるもの
そんな淋しさを抱えながらも、お互いを信頼して、愛を育んでいた。
…つもりだった。
ある日、知らない女性からの電話。
彼を愛しているから身を引いて欲しいと。
ここ数ヶ月の間に彼に何があったか知っていますか?
彼の過失で交通事故を起こし、相手を怪我させ、自分も怪我をしたと。
精神的にも追い込まれ、それを側で支えたのは自分だと。
近くにいない貴女は、どんなに彼が困っていても、傷ついていても、助けるどころか気付いてあげることもできないですよね?
何も知らなかった。
少し前のこと、
「会いに行きたい」
私が言えば、
「ごめんね…卒論あるし、就活も結構忙しくてさ…」
時期的にもそうだと思い、邪魔はできないと思った。
「そっか、それじゃ仕方ないよね。頑張って」
「うん、ありがとう」
そのやり取りの陰に、そんな事実があったなんて、考えもしなかった。
バカだな…私。
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