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幽霊の自分が干渉できるのは物>動物>意識のない人間、となるわけでどうしたっていつも物に頼る傾向がある。逆を言えば、人間にとりついて何かをする必要などないのだから別に得意である必要はない。
幽霊が見える探偵の佐藤、中嶋、小杉のいる探偵事務所で働かせてもらうようになって人間を操作して仕事をすることはほとんどなかった。せいぜい相手の記憶を探るくらいで、中嶋の体を借りて動く事もあったがそれは双方の了解の元だ。
それにそういう場合は体のコントロール権は中嶋にあり、一華が自分の意思で他人の体を使って言動を試みた事はないのだった。
だからこそ、今非常に困っている。
突きつけられているのはハサミで、相手は全裸で目がヤバイ。無論幽霊である自分がそういう状況名わけではない、今非常にピンチなのは探偵事務所で追っていたターゲットの男性だ。
妻子持ちでありながら若い女と浮気をしていて、奥さんから浮気調査を依頼されて男をずっと見張っていた。相手に霊感はなく自分がぴったり背中にくっついていることはわかるわけもない。
そうして浮気相手と会いホテルに行ってヤることヤったのをただ眺めていたのはいいのだが、非常にまずいことがおきた。
なんと相手の女も実は夫がいる身で、相手の旦那も浮気調査をしていたのだ。二人でしけこんでいたところを女側に張り付いていた探偵が旦那に連絡したらしく……何故リアルタイムで連絡するんだ馬鹿じゃないのかと盛大に突っ込んだのだが、とにかくその場に旦那が乗り込んできたのだ。
まずターゲットである男は旦那にボッコボコにされ意識を失った。そして女性にも数発拳をぶちかますと離婚届を叩きつけて出て行った。
うわあ、物凄い修羅場だ。いまだかつてこんな状況見たことない。さすがの一華も引いた。
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