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こんな、お調子もんのマー君やけど、適当そうに見えて、実はものすごくしっかりしていた。
片付けや宿題は、キチッとビックリする程きっちりやるし。テストもいつも100点や。おまけに字の大きさもキチッと揃えて、プリントも綺麗に台紙に貼ってある。
そして、突然、フッとふざけるのを辞めて、素に戻ったりする事があった。運動会が間近に迫ったその日も、そんな感じやったんやけど……だけどその日の放課後は、そのギャップが凄くて、何だか嫌な気分になった。
「どないしたんや。マー君。なんか元気ないな。もうすぐ、本番やで」
「ああ」
結局、最後のポーズはショッカーではなく、仮面ライダーのポーズをやる事になった。
中央にわい、仮面ライダー1号のポーズが入る事で、なんとなく仮面ライダーっぽく見えるだろうと言う事で落ち着いた。そんな訳で、練習するんやけど、マー君に元気がない。そないなると、こっちも楽しくない。
「どうでもええんや」
マー君はそう呟くと、帰る準備を始めた。
「え、ちょ、帰るん?」
「おう」
「まだ、ちゃんと合わせてへんやん」
「もう、ええねん」
「何が? やっぱり、マー君真ん中がよかったんちゃうん?」
「そんなん、ちゃうわ」
そう言うと荷物を持って出て行こうとする。
「マー君が、一緒にやろうって言ったんやろ! やろうや練習」
わいは、咄嗟にまー君のランドセルをつかんだ。
「……」
マー君は、わいの手を払い退けると、何も言わずに走り去って行った。
「いったいどないしたんやろ?」
と ゆたやんが心配する。
だけど、わいは頭に来て「知るか!」と言って、ロッカーを蹴った。
「なんやねん。いったい……」
ダンスがまた楽しくなくなってしまった。
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