あー、あの日の わいの冒険 1年生 その9 「それぞれの運動会」

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 こんな、お調子もんのマー君やけど、適当そうに見えて、実はものすごくしっかりしていた。  片付けや宿題は、キチッとビックリする程きっちりやるし。テストもいつも100点や。おまけに字の大きさもキチッと揃えて、プリントも綺麗に台紙に貼ってある。  そして、突然、フッとふざけるのを辞めて、素に戻ったりする事があった。運動会が間近に迫ったその日も、そんな感じやったんやけど……だけどその日の放課後は、そのギャップが凄くて、何だか嫌な気分になった。 「どないしたんや。マー君。なんか元気ないな。もうすぐ、本番やで」 「ああ」  結局、最後のポーズはショッカーではなく、仮面ライダーのポーズをやる事になった。  中央にわい、仮面ライダー1号のポーズが入る事で、なんとなく仮面ライダーっぽく見えるだろうと言う事で落ち着いた。そんな訳で、練習するんやけど、マー君に元気がない。そないなると、こっちも楽しくない。 「どうでもええんや」  マー君はそう呟くと、帰る準備を始めた。 「え、ちょ、帰るん?」 「おう」 「まだ、ちゃんと合わせてへんやん」 「もう、ええねん」 「何が? やっぱり、マー君真ん中がよかったんちゃうん?」 「そんなん、ちゃうわ」  そう言うと荷物を持って出て行こうとする。  「マー君が、一緒にやろうって言ったんやろ! やろうや練習」 わいは、咄嗟にまー君のランドセルをつかんだ。 「……」  マー君は、わいの手を払い退けると、何も言わずに走り去って行った。 「いったいどないしたんやろ?」  と ゆたやんが心配する。  だけど、わいは頭に来て「知るか!」と言って、ロッカーを蹴った。 「なんやねん。いったい……」  ダンスがまた楽しくなくなってしまった。
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