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わいの名前は 涼石 夏生。
これは、あの頃(小学1年生)を思い出しての話。
ちょっと? 結構? 昔の話。
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わい、涼石夏生、小学一年生。
学校の授業はどれも好きやけど、特にむっちゃ好きなのは体育の授業と給食。だけど、10月の運動会が近づき、体育の授業が全て演目のダンスの授業になってからは、ちょっとうんざりしてたんや。
一年生は「頑張れ一年応援団」と言う面白い感じの曲で、なんか格好良くない、。工作で作った。カラフルなポンポンを持って、みんなを応援しながら踊るんやけど。
なんで、ポンポンやねん。
しかも、何故かお尻をふったり、手をふったり、なんか可愛い動きで恥ずかしい。
なんでや。仮面ライダーやウルトラマンが良かったわ。
「なあ、ゆたやん」
わいは、体育の授業の準備体操をしながら、横の親友、森野豊、ゆたやんに言った。
「僕はキャプテン翼がええな。サッカーボール使ってみんなでおどんねん」
サッカーをやっている ゆたやん らしい回答が戻ってくる。
なるほど、キャプテン翼かー。ちょっと想像してみた。
みんなの蹴ったボールがあっちこっちに飛んで、観客席がパニックになる絵が頭に浮かぶ。
「サッカーやってない奴は手で持って踊んねん。スーパーキーパー若林くんや」
とゆたやんが付け加える。
わいの頭には、ほとんどみんながキーパー若林くんになっている絵が浮かんだ。……やっぱ、キャプテン翼はちょっと無理やな。
なんて考えてた時、少し後ろの列から、クラスで陽気な「松山将士君」、マー君が、ふざけてみんなを笑わしながらやって来た。
「でたなショッカー! ライダー変身! トウ!」と言って飛んでくる。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ!聞け、悪人ども!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
「おおー」
詳しくは分からんかったけど、なんか、おおおーっと言ってまう。と言うのも、実はわいのこの時代、ちょうど仮面ライダーの2期と3期の間で、リアルタイムでは仮面ライダーやってなかったんや。昨年、仮面ライダーZX(ゼクロス)が特別放送されて、それまでの歴代仮面ライダー9人を、やっとちゃんと知ったって感じや。
そんな中、詳しく知ってるマー君は、みんなの注目の的で人気ものやった。
わいと、ゆたやんも、一緒にライダーごっこをやって、最後にライダーポーズを決める。
「サンクス、なっちゃん、ゆたやん」
マー君が呟いた。
「コラ、そこ、何遊んでんの!!」
担任の山本一絵先生の声が飛んできて、マー君が「イッー」ショッカーの真似をしながら飛んで帰っていった。
周りからは笑い声が起こる。
あー、ダンスも仮面ライダーみたいに、もっとカッコいい動きやったらええのになー。わいは、ガッカリしながら可愛いポンポンを持ってダンスの練習を始めた。恥ずかしーなー、踊るの嫌やなー。
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