三題噺~第二回~

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三題噺~第二回~

お題 嗤う 博愛主義 制服  「人をとにかく愛しなさい」  物心のついたころから母親から耳にタコができるほどそう言い聞かされてきた。その影響で僕は優しさとは何かを常に自問自答しながら生きてきた。 僕は必死で愛を追求した。ただ愛というのは知ろうと知れば知るほどわからなくなっていった。  男も、女も、加害者も、被害者も、教師も、生徒も。様々な立場の人々を同じように愛する秤はいったいどこに存在するのだろうかと僕は探し続けた。 長年の禅問答によって導き出された僕の答えは優しさとは人に見下すことだということに至った。  誰もがみんな必死にに生きている。愛なんて考えたことないような余裕のない環境でみんな生きていくしかないんだ。そう思うと彼らは可愛らしく思えた。可愛らしさというのは本質的には弱さだと思う。 赤ちゃんが可愛らしさは放っておいたら死んでしまう儚さだと思うのだ。 世の中の人間はみんな赤ちゃんと変わらない。 社会に、親に、友達に、恋人に。 誰かにかまってもらえないと生きていけないのだ。 そうして僕は自らの傲慢さと親からの受け継いだ優しさの天秤をかけ、優しさを選んだ。  僕の博愛主義は根本的に歪んでいるのかもしれない。 人に嗤われるような醜い愛なのかもしれない。 それでも僕はほつれてみすぼらしい博愛主義の制服を着ながら今日も周りに愛を振りまく。      
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