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エピローグ
自分達には生まれ変わりやその後の人生を知る由などあるはずもない。本当に生まれ変わりというもの自体があるのかどうかもわからない。すべては生き残っている者達の「こうであって欲しい」という願望かもしれない。
それでも魂はきっと幸せに過ごしていると信じているからこそ、次に生まれてくる時はきっと幸せだと悲観ばかりしていられないから前に進もうとする。
どうか、あの子達の魂が次は天寿をまっとうできますように。
『次の道祖神、どんなものになるんでしょうね。ちゃんとあそこを守ってくれるものだといいんですけど』
「あー、まあその辺は清愁さんが何とかするだろ。戒縁さんだとろくなデザインにならないだろうから」
『どうしてですか?』
「あのじーさんが好きそうな経緯だからな、本来の道祖神って」
『あ、なんとなく分かったからいいです。何か霊感ある人って変わった人多いですよね。やっぱりひねくれちゃうんでしょうか』
「……ほう、それは俺に喧嘩売ってると捉えていいんだな」
少し低くなった中嶋の声に一華は慌てて手を振る。
『あ、サトちゃんがどうのって言う話じゃないですよ!? 綾さんみたいな人だっているし、まともな人もいますから!』
「俺明日からあの寺で修行すっかな。頑張れば法力身につくかも」
『だから違いますって!』
本気で焦っている一華に見えないように中嶋は小さく笑うと駅に向かって歩き出した。頭上には太陽が上がり町を照らしている。この辺りは街路樹もなく高い建物もないので日がよく当たる。
そういえばと、ふと思う。太陽が射す道は天道と言ったはずだ。子供が神になる事を天童と言い、この二つは同じような意味として使われる。今回の当事者は子供、そして歌も子供が歌うものだった。
そうなると今回の道祖神が砕けたのも、子供に関する事と相性が悪かったのかもしれない。次の道祖神は子供の像を入れてもらうよう清愁に伝えておこう。もう二度と、子供が利用される必要のないように。
・天童・END
幽霊と探偵 to be continued
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