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幽霊嫌いで詐欺嫌いの総弦の言葉とは思えず一瞬疑問に思った一華だったが、ふと中嶋の「子供の霊には優しい」という言葉がよぎった。先ほどの子供達を見ていても思うが、子供の霊というのは自分が死んだ事を理解できていない傾向があるようだ。それを説得しようとしても納得して成仏の道を行くとは思えない。
そういえば最初に子供の霊をどうするか、と言ったときさっさと成仏させればいいだろうとも言っていた。老若男女関係ないと言いつつも、やはり子供の霊というものには思うところがあるようだ。
だからこそこの地域の今後の対策にそれほど文句を言わないのだろう。同じことが起きて欲しくないと思っているのだろうと思い一華は微笑む。
『じゃ、今回はこれにて終了ですね。お疲れ様でした~』
「はい、お疲れさん。サト君、小杉さんにお礼言っておいてくれ。後で土産あげるから持ってって」
「わかりました」
踵を返して戻っていく中嶋たちの最後に歩き出した総弦はチラリと後ろを振り返る。特に何も変わったところや気がつくことはない。
これだけ大騒ぎをしたのだ、今回子供達に余計な事を吹き込んだ張本人が何か動くかと思い万全の準備をして張り込んでいたのだが何もなかった。不運にも亡くなった子供達を神に祀る事で供養しようとしたとは思えない。
中嶋たちは死因不明と言っていたが、おそらく一華以外全員が子供達を殺した犯人はハルちゃんとやらだと思っているはずだ。ただ中嶋の調査でその足取りをつかめなかったのだから相当警戒心が強く用意周到だったのだろう。総弦一人が調べたところでわかるとは思えない。
子供はいつだって無邪気で、純粋で、良くも悪くも無知だ。だからこそこれからもっと生きていろいろな事を知らなければいけないのに、小学校に上がる事もなく亡くなってしまった。親達の悲しみが晴れる日はまだまだ先、或いは一生ないかもしれない。
寺の坊主というのは霊の供養をする事で遺族を慰めることしかできない。何度もそういう光景を見てきたが、いつだって子供を亡くした親の深い絶望は見るに耐えないものがある。
今回ハルちゃんが出てきたら手加減なしにブチのめそうと思っていたが、何もない事が逆に不満だった。まるでこんな事どうでもいいとでも言っているかのようで。小さく舌打ちをした総弦は足早にその場を離れた。
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