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一番上の兄の結婚を急かしたのも、二番目の兄の試験不合格が続き諦めようとしていたところに渇を入れたのも自分だ。ちゃんと自分の言った事を叶えてくれようとしている。
『……ありがとう、ございます……教えてくれて……』
「なあに、構わんよ。ホレ、おじいちゃんの胸で泣いていいぞ」
大きく手を広げる戒縁に小さく笑い、首を振った。
「遠慮せんでも、ほれほれ」
『……とりあえずその何かを揉もうとしている手の動きがなければ考えても良かったんですけどね』
ワキワキと動く手を見ながら言うと、一応中嶋の方へと避難する。そして思った疑問を口にした。
『皆さんの経験とかで、何か心当たりとかないですか。成仏しない、霊視できない……今まで経験なくてもこういう事だったらありえるかも、みたいな』
一華の言葉に全員が考え込むように黙り込む。その言葉に一応中嶋がフォローを入れた。
「ウチの所長にも相談はしたんですけど、パっと思いつく原因はないそうです。何かないか調べてみるとは言ってましたが、今のところは何も」
中嶋の言葉を受けて清愁がふむ、と考え込む仕草をした。そして坊主三人でなにやら相談をし始める。
「……ジジイと親父、意見は」
「今考えてるけど、自分でも考えろよアホ息子。修行も仕事もサボるから知識も経験も増えないんだよ。一体いつまで一から十まで人に聞いてるつもりだ」
「そうだぞ、このロクデナシのクソだって一応人様に見せられる人間にはなったんだ。お前も精進せい」
「「テメエにだけは言われたくねえんだよクソジジイ」」
「なーんでお前ら親子は人を貶す時だけ息ピッタリなんだかなあ、いっつもじいちゃんを罵って」
「人のこと木刀やら卒塔婆やらでブン殴ってたサイコ野郎を尊敬なんてするわけないだろ」
「ガキの頃から女の尻追い回す姿しか見たことねえから尊敬も信用もしてねえわ。いいから考えろよそれしか取り柄ねえだろテメエら」
「半人前以下の尻の青いガキが偉そうに言うなアホ」
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