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部屋から出ると、待ってましたとばかりにマルティナが寄ってきて、綺麗な瞳を丸くして興奮する。
「すごいわ、レイレイ。また大きくなったのね」
「大きくなったというか、質量が倍になったというか」
「それにね、私、聞いたのよ。レイレイのおかげだって」
「……え?」
ギクリとして身体が強張ったけど、マルティナは嬉しそうに僕の両手を取って告げる。
「母さんに聞いたの。私の身体が成長したのは、レイレイのおかげだって。あなたが纏っている邪気が私に移って、私は成長したのよね」
「そうみたいだね。でも、魔物の気配が移ってるみたいで、気持ち悪くない?」
「まさか。魔の要素は原初のちからでしょ。こう見えても私はエルフの血を引いているんだから、それぐらい知ってるわ。治癒のちからに変換されてるのよね。だから、それも嬉しいの!」
手をぶんぶんと上下に振って、本当に嬉しそうに声をあげる。
「私が魔物の邪気を貰って、そのぶんレイレイは人間の姿になっていく。あなたが元に戻る手助けができているのだと思うと、もっともっと貰ってもいいぐらいよ。どうすればいいのかしら。ハグとかすればいい?」
両手を広げるマルティナ。ええっと、これはどうすれば。
戸惑う僕の背後から、ヘインズさんが助け舟を出してくれた。
「マルティナ、少し落ち着け」
「おじさま! どうすればレイレイは元に戻るの? まだ顔がないわ」
「それなんだが、彼を王都へ連れて行こうと思うんだ」
「王都?」
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