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I'm home
全身が血と泥に塗られた体を無心で動かし、お前は生き延びた。湿った土と火薬、そして血の臭いが満ちたあの地獄を、お前は何度も夢に見るだろう。ひとり苦しみ続けるだろう。命が尽きるその瞬間まで。
たまたま住む部屋が隣同士だった。偶然、身の上話をして、互いに天涯孤独の身だと分かった。年も同じだった。親しくなるにはそれで十分だった。
お前の隣は心地よかった。気を遣わなくてよかったし何より、他人の孤独を哀れむことで己の幸福を感じる人間たちから解放される唯一の場所だった。
ありがとう。俺の心を、俺がいちばん愛した場所に帰してくれて。
おい、そんなに泣くな。その板っぺら、お前が必死で持ち帰ってきたんだぞ。もっと大事にしろよな。
なあ、知ってるか? 米国では「ただいま」を「アイムホーム」って言うらしい。「私は家」って、何とも可笑しいだろう? でも思い切り言ってやるさ。
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